第1話 斜陽と林檎と自殺と。
「いらっしゃいませ〜。」カラン、と夕方の西陽が差す喫茶店のドアのベルがなる。
「いつものでお願いね。」と太宰治は一言言っていつもの窓辺の席に座る。
「はーい!」いい返事をしたのはこの喫茶店を経営してる姉妹の妹、遠藤
「お姉ちゃん、太宰さん来たからいつものコーヒーとハムトーストのセットお願い!」そういうと厨房から「はーい。」と声が聞こえる。喫茶の厨房で作業をしてるのは姉の
「いつ来ても此処は落ち着くねぇ。夕方は良い感じに夕日が差し、朝は小鳥たちの
数分後、カフェにコーヒーとトーストのいい匂いが漂ってきた。
「はい、いつものコーヒーとハムトーストのセットどうぞ。」太宰が座っている席の机にコーヒーとハムトーストが置かれる。
「いつもありがとうね、佳奈ちゃん。」待ってました!と言わんばかりの顔でハムサンドを手に取りながら言った。「ううん。こちらこそいつも来てくれてありがとうね。感謝してるよ。」佳奈が言ったと同時に比奈は首を縦に振る。それを見て太宰は微笑んだ。「さて、冷めないうちに食べないとね!いただきます。」
3人しか居ない静かな喫茶にサクサクとトーストを食べる音が響き渡った。
「今日も良い食べっぷりだね、太宰さん!」と太宰が食べてるところをまじまじと見ながら比奈が言う。「ふふ、そんなに見られると恥ずかしいなあ。いつもここのご飯は美味しいからね。もちろんコーヒーもだよ。」
「もう、そんなこと言って。嬉しいなあ。太宰ちゃんがそう言うならもっと頑張らないとね!比奈。」「うん!頑張らないと!」いつもと変わらない元気な返事をする比奈。
ちなみにこの喫茶は二人のおばあちゃんが設立し一昨年亡くなったが、両親は銀行の行員で手放せないので高校生だし大丈夫だろうと言うことで二人に任されたらしい。佳奈は今年大学受験で忙しいらしいが…。「それにしても凄いねえ、二人とも。高校生なのに喫茶店を経営するなんて。」太宰が喫茶を見渡しながら言った。「そんなことないよ。費用とかのほうはお父さん達がやってくれてるから。ね!お姉ちゃん。」
「うん。でもそろそろ自分達でやって見たらって言われてるからね。」
「そうなんだ。じゃあもっと頑張らないとね。応援してるよ。」佳奈と比奈は笑顔で「うん!」と言った。「ごちそうさま。また来るね!」太宰が席を立つ。「はい、お会計。コーヒーとハムトーストセットで560円です。」ここの喫茶のいいところは3つ。すでにわかると思うが店員である二人が明るく話しやすい事と、なんと言っても値段が安くお財布に優しい。そしてお客さんが帰るとき、必ず二人が笑顔で声を合わせて言うのだ。
「「ありがとうございました。またお越し下さい!」」
姉妹と文豪と喫茶と。 とえ @toe_kano
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