第13話
天井を睨んでいても、答えなど出はしない。
私は再びベッドから立上り、裸足でペタペタとゆっくりと部屋の中を見て回る。
出口になりそうなのは、ドアのところと格子のはまった小さい窓。
高いところにある小さい窓から見えるのは、薄曇りの白っぽい空。
空しか見えないということは、この部屋自体、高いところにでもあるんだろうか。格子は金属で出来てるようで、簡単に壊れそうもない。
やっぱりドアからしか出られそうにない。でも、外から鍵がかかってる。ドアの外には誰かが監視してたり、するんだろうか。
さっきから何度か声を出しても、誰も確認しようともしないから、誰もいない可能性もある。
ドアに耳をあててみるけど、ドアが厚いのか全然音が聞こえない。
ちょっとだけ、魔法でドアを吹き飛ばすことはできるのだろうか、などと、乱暴なことを考えたりもした。
火魔法とかでボンッと吹き飛ばすとか。
風魔法で切り刻むとか。
水魔法で穴を開けちゃうとか。
だけど、破壊した音とかで騒ぎに気が付かれて人が集まってきそうだし、追いかけられて簡単に捕まりそうな予感しかない。
そもそも、練習もしてない魔法など、どの程度の規模のものになるのか、予想がつかない。
意外と、チロッとした威力しかなかったりして。
うーん、うーんと悩みながら、ステータスの画面に目を向ける。
なんとか暴力的なものでも危なそうでもない魔法はないだろうか。こう、静かにひっそりと逃げ出せるような。
色々と見ていくけど、簡単に脱出できそうな魔法は空間魔法の『転移』くらい。でも、文字が薄くなってる。これって、今は使えないということか。
気になったので触れてみて説明を読んでみると、一度訪れたことのある場所で旗みたいなマーカーを付けとかないとダメみたい。残念。
「隠蔽スキルがあるから、部屋から出られれば、なんとかなると思うんだけど……」
いつ誰が入ってくるかわからない状況の中、苛々しながらステータス画面で魔法のリストに目を向ける。
一つ一つチェックしていくと闇魔法の中に『スリープ』を見つけた。
相手を眠らせる魔法だ。何々、相手によっては何もなければ最低1時間くらいは眠ってしまうのか。ふーん。
これは使用可能みたい。
「あ」
そして、自分の手首にある、透明なクリスタルの数珠……変化のリストが目に入る。
……これ、使えるかもしれない。
そう思った私は、再びベッドの中へと戻る。
私はワクワクしながら掛布団を引き上げて、ナビゲーションで魔法の使い方を調べながら、次に来るはずのメイドさんを待った。
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