第132話 リヴァイアサン召喚2

「むむ、ここはどこだ……?」


リヴァイアサンが呟き辺りを見回す。


「おお! ユウマとルア、何か用か?」


リヴァイアサンは俺に話し掛けてきた。


「いや、俺が呼んだんじゃないよ。ルアがあいつに水竜の杖を奪われて、あいつが呼んだみたいだな」


俺はアカリフォルニを指差す。


「ほほう……」


リヴァイアサンはギロリとアカリフォルニを睨んだ。


「そ、そうだ。儂がお主を召喚した。そこの女二人と、男と女を殺せ!」


アカリフォルニはトティとリーマラ、俺とルアを順番に指差した。


「ちっ」


トティとリーマラは諦めた顔でリヴァイアサンに対し身構える。


「何で、お前の命令を聞かねばならぬのだ?」


リヴァイアサンはアカリフォルニに問う。


「「え?」」


トティとリーマラはリヴァイアサンとアカリフォルニを何度か見比べる。


「へ? 儂が召喚したのだ。儂の命令を聞くのが常識だろう。いいからサッサと殺せ!」


アカリフォルニはリヴァイアサンに再度命令した。


「ふむ、状況は理解した……」


俺とクロドはリヴァイアサンを見る。


折角、ダンジョンの守護を任せてたのに、戦わないとダメかぁ。封印で何とかならんかねぇ、と考えていたら……。


ブシュッ!


リヴァイアサンが右手を振り、水流が刃となって、アカリフォルニの上半身を袈裟斬りに両断した。


「ぐあっ! ば、ば……か……な……」


崩れ落ちるアカリフォルニの上半身。


リヴァイアサンの尻尾が素早くアカリフォルニの死体に伸びて、水竜の杖を絡め取った。


リヴァイアサンは水竜の杖をルアの足元に静かに置く。


「ルア、水竜の杖を返すぞ。あまりこの杖は奪われない様にな」


ルアは水竜の杖に飛び付いて大事そうに抱えた。


「はい、有り難う御座いました」


「じゃあ帰るよ」


リヴァイアサンは魔方陣に身体を沈めていく。


「おう、またね」


俺はリヴァイアサンに手を振った。


水竜の杖はリヴァイアサンを召喚するけど、召喚するだけで、言う事を聞かせる訳じゃ無いって事が分かった。


「ちょ、ちょっとぉ!」

「どう言う事ぉ!」


トティとリーマラが俺達の元に駆け寄ってきた。


「あぁ、ごめんなさい。任せるって言ってたけど、なんだかこんな感じになっちゃった」


テヘペロって感じだ。


「いやいやいや、任されなくて良かったんだけど……」


「まさか、リヴァイアサンと顔見知り?」


「ユウマとルアがいなかったら、リヴァイアサンに殺されるところだったよ」


トティとリーマラは興味津々で俺に尋ねる。


う~ん。どこまで話そう……。トティとリーマラの事もそんなに知らないんだよなぁ。


話すのを躊躇っていると。


「ユウマ、私達に借りがあるよね?」


ジト目で俺を見るリーマラ。


あぁ、痴漢冤罪の件ね。


そう言えば……。


「ルア、下着は買えたの?」


「はふぅ、ま、まだ買えていません」


まだノーパンかい!

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