第130話 謁見の間

領主アカリフォルニの居城にある謁見の間。


「ククク、この杖が水竜の杖かぁ。簡単に手に入ったなぁ。ご苦労だった、褒美は後日与えよう」


領主アカリフォルニと黒装束の女二人、その足元に倒れている人魚のルア。


人魚のルアの両手には、魔封じの枷がつけられていた。


「そして、その女がダンジョン攻略者ユウマの仲間か」


「はい、Bランク冒険者と聞いていましたが、無用心で警戒も出来ない全くの素人でしたので、簡単に眠らせて連れて来る事が出来ました」


「ふむぅ。中々可愛い顔をしているのう。直ぐに殺すつもりだったが、ちょっと可愛がってからでも良いか……」


「ん、ん~……、は! ここはどこ?」


ルアが目を覚ます。


「おう、起きたか、目を開けた顔も可愛いじゃないか、そそるのう……、ウッヒッヒ」


アカリフォルニはルアの顎を掴み顔を上げる。


「え? あなたは誰? ……その杖は!」


「そう、水竜の杖だ。お前らには、宝の持ち腐れだ。俺が有効利用してやる」


「返してください! それはユウマ様から私が貰ったモノです!」


バシン!


アカリフォルニはルアの頬に平手打ちをする。


「きゃあ……」


「うるさい。これはもう儂のモノだ!」


「うぅ……、返しなさい! 水流!」


ルアは両手を前に出して、魔法を放とうとするが、何も起こらない。


「な、何で……」


「あっはっは、無駄だ。その魔封じの枷がある限り、魔法は使えん」


「これを外して!」


「馬鹿か、外す訳なかろう。それより、これから良いことをしてやろう。さあ、連れてこい」


アカリフォルニは、黒装束の女達にルアを連れて来る様に指示すると、謁見の間を出ようとした。


「待ちなさい!!」


謁見の間中央に魔方陣が浮かび、魔方陣から現れた3人と1匹。


俺とブラックドッグのクロド、トティとリーマラだ。


「本当だ、ユウマくんの言う通り、謁見の間にいたわ」

リーマラがトティに言う。


「そうね」

と言いながら、アカリフォルニを睨むトティ。


俺はルアに駆け寄る。


「大丈夫か?」


ルアを背にして、俺に身構える黒装束の女。


「アカリフォルニ、誘拐及び強盗、それに婦女暴行未遂かしら?」


「ぬ、公爵令嬢トティか、儂の居城に無断で入ってきて何のつもりだ。」


アカリフォルニはトティを睨む。


「公爵令嬢?」


俺は驚く。


「あれ? いつもペコペコなのに、今日は強気ね?」


リーマラがアカリフォルニの様子を怪しむ。


「そうねぇ。王座から降りてきて、跪か無いのはおかしいわ」


「ふん、公爵令嬢ごときはもうどうでもいいのだ。不法侵入の不届き者に罰を与える」


「はぁ、戦いもしない地方領主が私に敵うと思っているの?」


トティは剣を抜いて構えた。


「ふん、Sランク冒険者ももう怖くもなんともないわぁ」


封印とか収納を使えば一瞬で倒せるんだけど……、トティが任せてって言ってたしなぁ。どうしようかなぁ。

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