第42話 凱旋?

俺達は『魔獣の窟』を出て街に戻った。ブラックドッグのクロドと冒険者パーティー『風月の戦乙女』の5人と一緒だ。


『風月の戦乙女』と一緒なので、クロドには乗っていない。クロドは俺の横を歩いている。


太陽が眩しい。


「はぁ」

俺は溜息をついた。


「そんな顔しないの、ダンジョン攻略者なんだから、胸を張って自信を持ちなさいな」

カノンさんが励ましてくれた。


「えええ!ダンジョン攻略者ぁ?」

俺とカノンさんの会話を聞いて、これからダンジョンに向おうと、擦れ違う冒険者の女性が此方を振り向いた。


「あら、ユウマくんじゃない?」

以前知り合ったアヤカさんと、そのパーティーが前から歩いてきた。


「なになに? 魔獣の窟を攻略したの?」


「は、はい・・・」


「うっそぉ!凄いじゃん!これはダンジョンになんて行ってられないわ」


「え、依頼はどーすんのよ?」


「期限はまだあるでしょう。明日でも良いわよ」


「ユウマくん、今日は『祝攻略達成パーティー』だよ」


ワイワイガヤガヤ、女性冒険者達が集まって来て、擦れ違う男性冒険者の目が冷たい。


「モゲろ」

ボソっと呟く声が聞こえる。


俺とクロドは女性冒険者に囲まれて、冒険者ギルドに向かった。


クロドは大人しくモフられるので、女性冒険者に大人気だ。


「肉目当てでしょ」と思ってる俺と、「ふふ。お酒飲めるぞワン」と呟くクロド。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


『風月の戦乙女』の5人は依頼達成の報告で受付に行ったが、俺とクロドは冒険者ギルドの裏にある解体所に来ていた。


「お早う御座います!おやっさん、買取をお願いします」


「おう、お早う!奥の倉庫で出してくれ」


俺は亜空間から肉以外の素材を、倉庫に出していく。


「な、なんだぁ?こ、これは!この皮、牙、爪・・・」


おやっさんは俺が展開した素材を見て驚きの声をあげ、じっくり見ていた。


「おい、ユウマ!これって・・・」


「そうです。黒毛巨牛ブラックオーロックス黒毛大猪エリュマントス巨大黒山羊エアレー巨大黒鳥ブラックジャイアントモアと、・・・オルトロスとゲリュオンです」


「お、お前、こ、これって・・・。『魔獣の窟』を攻略したのか?」


「は、はい」


「やったじゃないか! 凄いぜ!」

バンバン肩を叩くおやっさん。


「肉もあるんだろうな!」


「勿論ありますよ」


「良し、今晩はパーティーだ。その前にちょっと待ってろ」


おやっさんは、冒険者ギルドの中に走っていく。


程なくして、おやっさんが体格の良いおじさんを連れて来た。


「ユウマだね。儂は冒険者ギルド長のソウマだ」


「ギ、ギルド長? はい、俺がユウマです」


「トモヤに聞いたよ。『魔獣の窟』の攻略おめでとう」


「トモヤ?」


「え?俺の名前だけど」

おやっさんが自分を指差す。


ああ、おやっさんの名前か。


「ユウマの冒険者証を見せてくれ」

ギルド長が俺に言う。


「は、はぁ」


俺はEランクの冒険者証を提示する。


「やっぱりそうだったか。ほら見てみろ」

おやっさんが、ギルド長に言う。


「うむ。ユウマ、今まで済まなかった。ダンジョンの攻略を出来る程の冒険者を、Eランクのままにしておくなんて・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

長らくお待たせしました。

次回受付嬢メイが処罰されます。

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