第288話 とんだ財宝探し
「だからコイツは、ベルゼドアたちがいる島と、ガラフェゴルンがいた場所に設置するつもりだ。何かあったらすぐに分かるようにな」
一応ニケたちの島にも備え付けておこうとは思う。危険はないと思うが、一応十時たちもいるし、俺が仕事を紹介した以上は最低限の安全だけは守るつもりだ。
ちなみにオレミアには、彼には内緒で《カメラマーカー》をつけているから、一応調べようと思ったらどこにいるかは把握できる。
これでクラウドホエール以外の状況は常に監視できるシステムは構築できた。あとはこれらにヴォダラが接触してくるかどうかだが……こればかりは奴らの動き次第だ。
「あとは待つだけだ」
「うん……ボーチを信じてボクは待つことにするよん」
「ああ。……ところで今更だが、船は大丈夫なのか?」
咄嗟だったからオズだけを連れてくる形になったが、あの場に残された船は一体どうなったのだろうか?
「ふぇ? ……ああ、それは大丈夫なのん、《オズ・フリーダム号》はボクのことだからん! 船はこの島の海岸に浮いてるよん!」
ちょうど良いと思ってモニターで確かめると、確かに海岸に一艘の船がいつの間にか浮いていた。
「お前が船そのものというなら、わざわざ顕現させておく必要なんてねえんじゃ……」
「確かにそうだけど、船はやっぱり海の上に浮かんでなきゃん!」
そういうことらしい。ただ船を本格的に動かそうと思ったら、ここにいるオズは船と同化する必要があると教えられた。
あの船の墓場に居た時は、ただただ波に流されて彷徨っていただけで、自らの意思で航行していたわけではなかったらしい。
「だがマスター、とんだ財宝探しになったものだな」
ヨーフェルの言う通りだ。まさかこんな大事に巻き込まれるとは思わなかった。結局財宝の在り処も分からないし。
ただまあドワーツを助ければ、財宝の在り処をオズが教えてくれるとのことなので、どうか財宝もこっちの世界に飛ばされてきていることを願うしかない。
「こうなったら次は【幻のダイヤモンド遺跡】でも探すか」
もっともこちらもまた信憑性は薄い伝説のようだが……。
「うん? ボーチはお金が欲しいのん?」
「ん? ああ、俺の能力を十全に扱うには金銀財宝が必要なんだよ」
「ほぇ~変わった異能なのねん」
「スキル、な」
「でも……そっか、ボーチ! お金がたっくさんあったら船長だって助けられる確率って上がるん?」
「それはそうだな。役に立つアイテムなんかは特に金を要求されるしな。しかしその分、効果は期待できる」
「なるほどん…………ねえボーチ、さっき言ってた【ダイヤモンド遺跡】って、ボク知ってるかもん!」
「!? それ本当か?」
「多分……前に、仲間たちと一緒に行ったことがあるから」
仲間たちというのは、もちろんドワーツたちのことだ。
「てことはだ、ドワーツたちがすでに漁ったあとってことか? なら行ってももぬけの殻なんじゃねえか」
せっかく伝説が現実に現れたと思ったが、またもや肩透かしをくらった気分だ。最近こんな不幸続きである。何か悪いことやったかな俺……。
「あ、違うのん! ドワーツはそこあったダイヤモンドに一切手を付けてないよん!」
「……何? 海賊がお宝を放置したのか?」
「うん。何でも、そこを守ってる番人がいて、その番人と約束したからだってん」
「約束? 何の約束だ?」
「それは分からないのん。ボクはクルーたちが話しているのを聞いただけだからん。その約束は、船長とその番人だけしか知らないらしいよん」
約束……か。
その約束をしたからドワーツは目の前にあるお宝を奪わなかった。海賊にもかかわらずだ。一体どんな約束をしたのか……。
「しかしその遺跡もこっちの世界に飛ばされてきているかは分からんな」
「じゃあさっきの紙を飛ばせばいいのん! ボクがまた知ってること書くからん!」
「おっと、そういやその手があったな。物は試しだし、頼むとするか」
「うん! ボーチには船長を助けてもらわないといけないのん! だからボクにできることなら何でもするからん!」
そうしてオズにはまた《サーチペーパー》を渡し、【ダイヤモンド遺跡】に関しての情報を記載してもらい飛ばした。
とりあえずドワーツの拠点である島もそうだが、遺跡に関しても今は待つだけとなった。
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