幸せの話

幸せはどこにあるんだ

幸せはどんな形してんだ

それを想像できない奴は

幸せになれないって聞いた

想像できないって事は結局のところ

俺にはどうしようもない事じゃないか

川のように流れる人波に

一体幾つの幸せが流れているんだ

下流にいる奴にもその幸せを

掬うだけの数があるんだろうか

流しそうめんみたいだな

俺、あれ苦手なんだよなあ

うまく掴めたためしがないし

結局上流の奴が満足するまであり付けないんだ


幸せや愛を歌にしたくても

君に当てはめる君がどこにもいなくて

ただただ突っ立っているうちに

随分下までやってきたもんだなぁ

人はそれをどう名づけたか?

例えば、侘しい。


ああ、永らくだな、元気かい?

嫁さん出来たかい?子供は?

そりゃいいこった!

優しい子になると良いな

しかし懐かしいもんだ、あの頃遊んだあの公園

今はお前の子供が遊んでるんだよなぁ

なんだかそれは幸せな事だなぁ

なんて事を話せる奴がいる程俺は人を大切にしなかったなぁ

激しいほどそれを後悔してるよ

意味があるかは別にしてさ


懐かしさを歌にしたくても

景色や空気を共有できる奴がいないと

伝えるために言葉を尽くすしかなくて

ああ、薄っぺらいもんだなぁ

人はそれをどう名づけたか?

例えば、寂寞。


今んとこ俺は一人だよ

結局何者にもなれず歌ってるのさ

理屈っぽくなったのはダラダラと

一人で考えちまうからさ


それでも生きてゆかざるを得ないのさ

そして生きてる以上、なんとか幸せになりたいのさ


幸せはどこにあるんだ

探さにゃ、ならぬ

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ぺとぺとした生っぽい青い臭いの奴。 濡れた犬。 @deadman

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