連作短編：緑が丘高校シリーズ

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　"はじめまして！　「編これ」歴半年の、まだまだ新米司令官のフェニックス54です！　嫁はF-14Dトムキャットです！　よろしくおねがいします！"

　これが僕の一週間前の初投稿だ。そして……

　現在に至るまで、「いいね！」の数、ゼロ。

　……。

　そりゃそうだよな。

　こういうのって、まずはリアルのつながりから始めていくものだもんな。だけど……

　僕は自分が「編これ」の司令官であることは、クラスのみんなには秘密にしていた。友人たちにも誰にも言っていない。僕の仲間内では、「編これ」はオタク連中のやるものとして、一種の蔑みの感情を持って扱われていたのだ。正直僕も、オタクと言われるのは心外だ。が……ハマってしまったものはしょうがない。

　なので、このアカウントもリアルの知り合いには絶対教える気はない。もちろん「知り合いを探す」なんてことは絶対できないし、このメアドもこのフェイスグラムアカウント専用に新規に作ったものだから、知り合いは誰も知らない。だから「知り合いかも？」で出てくる可能性もないはずだ。

　しかし……何も反応がないのは寂しすぎる……

　アクセス数はそこそこある。でも、「いいね！」もコメントもシェアも全くない、となると……さすがにヘコむ。

　だけど、いくら待っても反応は全くなかった。

　その後もいろいろ投稿してみたものの、結果は同じだった。

　……。

　とは言え、考えてみれば、当たり前と言えば当たり前なのだ。

　僕は今のところ「編これ」公式くらいしかフォローしていない。フォロワーはゼロだ。

　もっと自分からフォローしていけば、相互フォローでフォロワーも増えるのかもしれないが……ダメだ。自分からフォローする勇気がない。ほんとヘタレだと自分でも痛感する。

　まあでも、たまには目先を変えた投稿でもしてみるか。いつもはゲーム画面のスクショばかりだけど、写真とかどうだろう。

　実は今日の夕方、雨上がりに日がさして、とてもきれいな虹が上がったのだ。僕はスマホでそれを撮影した。一瞬だった。すぐにまた雲が太陽を隠し、虹は消えてしまった。僕はその奇跡の一枚をアップロードしてみた。

　……。

　しばらく待ってみたが、やっぱり反応なし。

　アクセス数も、いつもよりはちょっと多いかな、という程度。

　はぁ。

　僕ががっくりと肩を落とした、その時だった。

「いいね！」と共にフォローが、そしてコメントも付いたのだ！

　"きれいな虹ですね！"

　……。

　うおおおおおおおおおお！

　やったああああああああ！

　いったい誰だろう、と思って見てみると……

　アカウント名「カニンガム112」さん。なんか「おすすめユーザー」で見たことあるかも。

　早速ユーザーのホームに飛ぶ。

　うわ。

「編これ」の司令官じゃないか……それも、嫁機が「F-4EJ改スーパーファントム 301SQ 40th Aniversary仕様」……

　これ、僕が始める前のとあるイベントで提供され、今は入手できない激レアの機娘だ……

　自己紹介を見る。

　"F4ファントム大好きな、新潟市の高二です！　ハンドルはベトナム戦のファントムのエース、ランディ・カニンガム大尉とその乗機、ショータイム112から取りました！よろしくお願いします！"

　マジか……同い年（タメ）じゃないか。だけどかなりガチ勢っぽい……

　しかも、F-4EJファントムって、和服の熟女キャラだぜ……趣味が渋すぎる……

　とりあえず僕も早速「カニンガム112」さんをフォローし、コメントを返す。

　"ありがとうございます！　僕も高二です。金沢市なので同じ日本海側ですね！　よろしくお願いします！"

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