アケノスス。

御手洗孝

第1話

 はぁ。

 はぁぁぁぁぁぁぁ……。

 長い、長い溜息は、何処までも先に流れていくが一向に消えることは無い。

 何度となく吐き出される息のその先には何もない事がよく分かる。

 一体僕は此処で何をしているのか。

 僕が僕であるのに、僕は僕でないと、僕が認めてしまっているから此処にいる。

 きっと外は明るいだろう。

 きっと外は暗いだろう。

 二つの相対する事柄が僕を作り上げた様に、この世界は対する二つの出来事で成り立っている。

 あぁ、僕よ。いつになれば僕の存在に気付いてくれるのだろうか。


 払っても、払っても。

 其の煤は近くにあって。

 どんなに視線をそらしてみても其の煤は纏わりついていた。

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