翼猫

薄暗い路地裏 夕日の光も届かない

細い塀の上に 小さな丸い影一つ

か細い鳴き声を 聴く者はいない

小さな子猫は 恐怖と出会った


痛みを知らぬあの子らは

背中に翼があると信じている

震えた足で崖に立ち竦み

骨になって朽ちて消えていくんだろう


痛みを知らぬあの子らは

友の背を踏んで上ってゆく

降り方が分からないことも分からないまま

力を持つことの意味も知らないまま


もしもあの子らの背中に翼があったなら

その羽ばたきは誰のため

大空から見下ろした世界に

彼らは涙を流すのか


彼らに飛び方を教えよう

母を失い生きてゆく子どもらに

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