9/10(木) 穂積音和②
「はーーームカつく!!」
昇降口で両脇の二人から解放された中村
「ウチの彼氏とあいつ、さっき話してたじゃん!? ありえなくね!?」
「あーね、穂積チャンでしょ〜」
ゆるい語尾が特徴の水川もなかは、相槌を打ちつつミサの背中をぽんぽんと叩く。
「最近クラスでも喋ってんの見るけど、ホッント不快!」
それでも勢いが止まらないミサは喚き散らした。校門を振り返りながら、頭のお団子にチュパチャをさした田中
「男ウケだけはいいんだよねーあいつ!」
「これみよがしに野中先輩とも喋ってるし、最近ちょっと調子乗ってない?」
「あ〜わかりみ〜」
ケラケラと笑いながらもなかがミサを肯定する。それに満足したのか、ミサはようやく靴を脱ぎだした。
「せっかく忠告してやったのに、ありえないんだけど……」
ローファーをロッカーに入れながら、ぶつぶつと恨み言は止まらない。
友人のアンジュともなかも頷き合う。
「だいたいさー、ミサの彼氏に色目使った時点でアウトっしょ!」
「忠告も聞かないしぃ、100%向こうの過失だよね〜」
「んじゃ、ウチらがなにやっても正当防衛じゃん!?」
二人の会話を聞きながら、ミサは上靴を足元のすのこに投げて、眉間のシワを解いた。
「そうよね。こっちは傷つけられたんだから、わからせるしかないでしょ」
長い髪の毛をばさっとかいて、ミサはニヒルに笑うのだった。
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