第1部 自慢のおじいちゃん

???

「くっそ……」


 会場からはブーイングと失笑が起こっている。

 ちくしょう。なんでこんな目に。


「トモミちゃんがんばれー!」

「トモミちゃんキャワイイ!」

「お前ら顔覚えたからな!! あとでぶっ殺す!!」


 外野の野次に俺はキレた。


「てめえら! トモミは俺のだろがーーっ!!」

「って野中お前も名前で呼ぶんじゃねー! 覚えてろよ!!」


 叫びながらもスタートラインに立つ。

 高鳴る心臓に身を任せて、ラインにつま先を揃えた。

 絶対負けない。

 こんなところで挫折なんてしない。

 虎蛇の未来のために!


 パンと鉄砲の音が鳴って。

 瞬間、俺は先頭に抜けた。


 長い髪の毛とドレスをなびかせながら。

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