フィールドに出た目的を忘れてました!?

 撮影を切ってから二匹に振り返り、よくできましたと頭を撫でくりまわす。

 気持ちよさそうに目を細める二匹に思わず私は抱きついた。


 ――五分後。


「それじゃあ、ステータスとスキルレベルを上げましょう」


 もふりすぎて我を忘れていた。仕切り直しとして「こほん」とわざとらしく咳払いをする。


 オボロのスキルレベルを上げる前に撮影を切ったのは、一応ネタバレ配慮というか……もし聖獣同士の試合のイベントが開催されたら、手の内がバレたまま挑むことになるからだ。それはさすがに避けたい。


「はい」


 四つの宝玉を使用すると、黒い粒子となってオボロの額の宝石に吸い込まれていく。こうして、オボロのスキルレベルは全てひとつずつ上がったのだった。この撮影前にも練習でレベルは上げているので、今はスキルレベルが三になっている。ステータスはまだ上げていない。


 グレイウルフは群れだとリーダーの【責任感】が発動して倒すのがわりと大変らしいが、【スカウト】しているので、食いしばりとかはまったく関係がない。さくさくと仲間にできてお得な魔獣だったね。


それから、残り八つの宝玉の使い道だが……私はステータスポイントをもらっても器用値に全て振ることになるし、レベルアップではステータスが上がらず、宝玉を使うしかないこの子達のために全部使おうと思う。


 宝玉で上げられるステータスも、二段階目の進化では全てのステータスに割り振るとして総計200までらしい。けれどそのうち三段階目に進化したり、レベルキャップ解放みたいなことがあればそれも段階的に増えていきそう。


四つずつ二匹に振り分け、一匹につき八ポイントのステータスポイントを取得させる。それから、オボロは敏捷、アカツキは器用値を底上げしていった。




 ━━━━━━


 名前: 【オボロ】

 種族: 聖獣スノウホワイト・ウルフ

 属性: 雪

 レベル: 6

 体力: 125

 S P: 85


 ステータス:

 力: 30 防御: 10 敏捷: 48 器用: 10 霊力: 10 幸運: 10


 状態: 健康

 感受性: 100

 信頼度: 100

 忠誠度:100

 信仰度: 20


 スキル

【責任感Lv3】【送り狼Lv3】【風花の調べLv3】【ウルファングLv3】【騎獣Lv2】


 装備 なし


 ━━━━━━


 ━━━━━━


 名前: 【アカツキ】

 種族: 【緋翼】の聖獣情熱クック

 属性: 晴

 レベル: 10

 体力: 145

 SP: 115


 ステータス:

 力: 5 防御: 5 敏捷: 30(+5) 器用: 48 霊力: 20 幸運: 10


 状態: 健康

 感受性: 100

 信頼度: 100

 忠誠度: 100

 信仰度: 20


 スキル

【比翼Lv1】【足蹴りLv2】【鳳凰の恩恵Lv1】【受け流しLv3】【飛び蹴りLv1】


 装備 なし

 ━━━━━━



 よし、できた。私とアカツキはレベルが10となったので、本来はこれでようやく第一段階目の進化ができるのだろう。信仰って大切だね。

 動画を確認して、変なところは特に見当たらないので、そのままネットに繋げ、公式のサイトからチャンネルを作り動画投稿を始める。


 しばらく動画をエンコードしてアップするのにも時間がかかりそうなので、一度街に戻っ……。


「きゅう〜ん」

「くぇ……」


 私達全員のお腹の音が鳴った。そうだった、この子達の食糧調達のためにフィールドに出たのだった!


 ああ、ゲーム内での空腹の項目が見える……しかし、今の私は一文無しである。我慢したらステータスにマイナス効果が入るだろう。


「森に行って食べ物を探しますか!」

「うぉん!」

「ケェ!」


 こうして、野生児の如く腕まくりをしながら森に突入していくのだった……。

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