梅雨

きっと色がすっかり変わったであろう靴下は一歩踏み出すたびにぐしょぐしょと不快な音を立てている。衣替えしたばかりの半袖のワイシャツは素肌に張り付いて気持ちが悪い。


学校から一番近いコンビニまで気持ち走ったのだが肌寒い。鳥肌が立っている。『梅雨入りで気温が下がるので体調の変化に気を付けてください。』そんなことをお天気キャスターが言っていたのを思い出しながらもコンビニに着き七百円くらいするビニール傘一本と鮭おにぎりと温かいお茶を一つ買った。母が作ってくれたお弁当を昼に食べたとはいえ育ち盛りだからか放課後には少しお腹が減っている。


さっきより雨脚が強まって窓に無数の滴が連なり滴り落ちていく。少し弱まるまでここでおにぎりでも食べて待ってよう。そう思って店の奥の座れるスペースに腰掛けた。


数分経っただろうか、聞き慣れた入店音と共に入ってきた一人の男に目を奪われた。

歳は‥同じくらいだろうか決して綺麗ではないオレンジがかった傷んだ金髪、制服はもう濡れてない部分などないくらいズボンの色が変わっていて少し長めの襟足からは滴が垂れている。ワイシャツが張り付き背中のラインがはっきり見えている。

きっと僕と一緒で傘買いに来たんだろうなぁ…なんて思ってまた外を眺めていたら彼が買い物を終えて店から出て行ったようだ。


ふと視線をそっちにやると、彼と目が合った。 


無意識に息を止めてしまった、あまりの衝撃に目を奪われて。

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