心のどこかで非日常に憧れていたのかもしれない。

高校二年生になった僕は毎朝決まった時間に起きて、寝癖だけ直してただついてるだけで誰も見ていない天気予報を聞き流しながら母が作ったスクランブルエッグを少し焦げたトーストと一緒に食べる。

『結人（ゆいと）、お昼過ぎから雨降るらしいから忘れずに傘持っていきなさい。あ、あと帰りは九時過ぎだからいつもみたいにお腹空いたら冷蔵庫にご飯入ってるから。』

台所と洗面所を行ったり来たり忙しそうにしている母が大きな声で僕に言う。

『分かった。』

そんな母を横目に適当に相槌を打ち、支度して家を出た。

傘は持たずに。

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