第6話 リキの日常 《日常》

相変わらず、ジェーン(飼い主)は仕事に行かない。 人間社会では、リモートと言うらしいね。 ジェーンはテレビ三昧の日々を送っている。 その目を盗んで、ショートショートを書くのは至難の技だ。 ストレスが溜まり、犬らしい粗相をすることが増えたような。その度に、「駄目でしょ、リキ」や「NO! リキ」と、怒られていた。が、最近はドラマの影響なのか、「許さな―――い」と、抑揚のない声で怒られる。 正直、ウザイ! ジェーンよ、昔の君に戻っておくれ。 「みんなのジェーンだよ」とか、[あざとい]とか、写真集とか、〔美のカリスマ〕なんかにならないでね! ヤ、ヤバい! 先日届いた、2枚入りのマスクを眼帯にして鏡を見ている。 振り返り、僕を見た。 無表情で、僕を見た。 「許さな―――い」 悪夢の日々が続く。 マリア様―――!!

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