おへそがブスだと気づいた日

私のおへそはブスなのかもしれない。それに

気づいたのは、中学生の時だった。


夏休みに、友達と大きな市民プールに遊びに行った時のこと。ボタンのついたプールタオルをかぶって、その中でみんなもぞもぞ着替えていた。私はへそ出しではないオールインワン(?)な普通の水着。おしゃれに気を使うおませな子たちは、上下分かれてる水着を着ていて、みんなで「えー、なんかえっち」と騒いでいた。

よく見ると、なんだかその子たちのおへそは私と違うことに気づいた。なんというか、きゅっとしているというか、穴がはっきり見えてコンパクトだったのだ。思い返すと、週刊誌とかの表紙にいるグラビアアイドルとかもみんなきれいなおへそをしている。

その日、おうちに帰ってお風呂で自分のおへそを見てみると、やっぱりあの子たちとは違っていた。デベソとまではいかないけど、なんだか穴が皮膚で埋もれてしまっている。ちょうど「入」みたいな感じのシワがあってぷっくりしていて、なんかちょっと不格好だ。


ああ、私のおへそはブスなんだ。将来へそ出しルックとかは絶対無理だし、海やプールでも笑われちゃうんだ。ひどくしょっぱい気持ちでお風呂から上がったのを覚えている。


結局、元々私はお腹が弱いので大人になってからへそ出しルックをしようだなんてちっとも思わなかったし、海やプールでひとさまのおへそなんて誰も見ちゃいなかった。

どうやら「人」とか「入」みたいな感じのおへそは縁起がいいらしいし、このおへそもそんなに悪くないかもしれない。ただ、最近わかったことは、どうやらこの形だとへそのゴマがたまりやすいらしい。でも、あんまりほじくるとお腹が痛くなってしまう。


ああ、難儀だな。やっぱりきゅっとしたおへそがうらやましい。今日も湯船につかりながらないものねだりをする。


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