第22話 友達ってなんだっけ
幾多の火花、太刀と剣がぶつかり合う音、
微かな衝撃音が地面の砂を吹き飛ばし、
空に我がもの顔で浮遊している雲を斬撃が両断し、
地面に亀裂を生み出し、
次から次へと亀裂が生み出され、
地響きのような音になる、
音が反響する。
姿は高速すぎて把握出来ない、
俺様は自然の流れに任せるように、
沢山の遊びをしているかのように、
これが友達だよと俺様が教えているかのように、
右腕がぶちんと音をならして筋肉の腱が切れた音、
右足がぐねりとまがり折れた音、
折れた右足で立ちながら、分裂していく奴の体を次から次へと両断し、
接続部から離脱させミイラのようになる。
斬って斬って斬りまくれ、
それが脳内に響き渡る。
これが武芸に生きるという事、
これが強気を求めるという事。
命が燃え尽きる。
それまで体がもつ限り、
回転し、回転し、
ガードしまくり、次には斬撃を浴びせまくる。
バク転しながら、後ろによけながら、モンスターのように迫ってくる冥王ブランディーは容赦のない笑顔でやってくる。
俺様はそれを右に左にとよけて、
太刀で上から下へと両断する。
その両断された部分の地面はぱっくりと開け放たれる。
もはや周りの環境は壮絶な物となる。
地面が木々が岩が色々な生き物または自然物が破壊されていく。
それでも俺様と奴の遊びは終わらない、
いつしか俺様も楽しくなり、
げらげら笑いながら、
いつしか武器を使うのを止めていた。
というより2人には武器を持つだけの気力がなかった。
神仏のメリケンサックを装備から外した。
拳と拳でぶつかりあった。
冥王ブランディ―は銀色の髪の毛を振り回し、
殴っては殴られ、
殴られては殴って、
それの繰り返し、
2人はフラフラになりながら、
地面に激突しそうで、
冥王ブランディーはふんばると、
俺様はもう無理だとばかりにぶっ倒れそうになったのだが、
髪の毛から出てきたゴミスライムが矢のごとく、ブランディ―にタックルすると、
冥王ブランディ―は盛大にぶっこけて、
地面に叩きつけられた。
それから俺様が地面に叩きつけられた。
「きゅい、きゅいきゅい」
「お前ありがとな、ゴミスライム」
ゴミスライムはとても嬉しそうにしていた。
顔のような所にゴミがあり、
それで顔を作っているみたいだったし、
このゴミスライムは俺様の髪の毛を掃除するために髪の毛に入れておいたものだ。
「ぎゃっはっはっはっはっはっは」
突然笑い出したのは冥王ブランディ―だった。
彼はこちらを見て手を差し出す。
「負けたよ」
「まぁゴミスライムがいなかったら俺様が負けていた」
「仲間のモンスターも力のうちさ、さて、俺様はお前の友達になろう」
「それは助かる」
「というよりかは、お前のモンスターになってやる」
「はい?」
「だからお前の眷属のモンスターとなる。こう見えてモンスターだぞ」
「まじかよ」
【冥王ブランディ―が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】
なんか頭の中でアナウンス的な物が響き渡った。
「悪い事をしたな、この数億のモンスターを皆殺しにしてしまって」
「いいのいいの、気にしてないから、彼等だって本望でしょ戦って死ねたのだから」
「そういう物なのか?」
「そういう物さ、それより僕は死体を吸収してくるからさ、後から街に行くよ、時間差があったほうがいいだろう、街の人だってオレの事あまりよくは思わないでしょ」
「それもそうだな、だが、お前は俺様の仲間だ、どんな時だって守ってやるぞ」
「それを言うなら守られるだろ」
「それは言えている」
俺様モードから僕モードに変更しつつも、
思考回路を平和的にしながら、
7人の美少女達が涙を浮かべながらこちらに走ってくる。
数億のモンスター達をたった7人の美少女と1人のランク外冒険者が倒してしまった。
それはこの街でどのような事になるのか、
めちゃくちゃ不安だ。
まずはあの4人組を見つけてお仕置きしておかないとなぁ。
僕はその事を考えて、
7人の美少女達に向かって手を振りながら走って向かった。
――――――――――――――
ルンデウスの街
――――――――――――――
ルンデウスの街ではお祭り騒ぎかと言えるほどの、人々が大騒ぎをしている。
彼らは七つの大罪とランク外冒険者の物語を吟遊詩人に広めていた。
吟遊詩人達は七つの大罪とランク外冒険者の事を広める為に、幾多の国や街や村に向かっていった。
ちょまってくれえええええという僕の叫びが虚しく山に木霊していたようだ。
現在冒険者ギルドで目の前にいる受付嬢の美人な女性はこちらをじいっと見ている。
次に左を見る。
次に後ろを見る。
後ろには7人の美少女たちが夕ご飯で食いまくっている。
あまり食うなとは言えず。それは放って置く、
後、怪我はベリーが治してくれた。
次に左は冥王でレジェンド級でブランディ―さんが腕を組んでいる、
銀色の髪の毛がぼさぼさに生えている。衣服はあのままだとまずいと思ったので、軽装備を着せている。
「あのう、あなたは異常者か何かなのですか? さっきからボスモンスターばかりテイムして、相当やばいですよ、色々な意味で」
「お主、オレの友達を罵倒するか、ぶっ殺すぞ」
「いやいや、ブランディーよ落ち着いて、彼女は今スキンシップをしたんだよ」
「そんなサディストなスキンシップがあるとは、まだまだ人間も舐めないほうがいいな」
「は、はは、なんで冥王をテイムしちゃうのさ、基本的にボスモンスターを仲間にする人を聞いた事がないの、あれよ、魔王を倒しに行ったら魔王が仲間になりましたって奴よ、あなたは魔王よりすごい奴を仲間にしてるんだよ気付いてる?」
「はい、気付いております。僕もどうしてこうなったかと」
「うんうん、気づいてくれてる」
「なぜ普通のモンスターをテイムできないのでしょうか」
「そっちかいいいいい」
「聞いてください、普通のモンスターをテイムしたいのに、色々と準備していざゴーとしたらボスモンスターばかりテイムしちゃうんです」
「は、はは、ご愁傷様」
「唯一ゴミスライムが仲間になったくらいですし」
「ゴミスライムねぇ、一応レアよ、それも最上級のね」
「ゴミダンジョンに腐るほどいましたが?」
「恐らくフィーバーしてたのね」
「おおおおおおお、普通のモンスターをテイムしたいぞおおおおおお」
「それを祈ってるわ。さて、彼も冒険者にするのよね」
「そこんとこよろしくです」
「了解したわ、ではブランディ―さんは冒険者でいいですね」
「もちろんだ。さきほどから我が友達になれなれしいようだが、あまりなれなれしいと殺すぞ」
「はいはい、なれなれしくありませんよ」
カウンターで待つこと2分で、悲鳴があがった。
受付嬢がパニックでこちらに走ってくる。
そしてばん! と大きな音を立てて紙をカウンターテーブルに叩きつける。
「これ化け物じゃない、リュウケンさんより強いわよ」
「は、はは、そうです」
「その化け物に勝利出来たリュウケンさんが異常だわ」
「異常ですみません」
「リュウケン君一度病院に行かない?」
「行きません」
「なに、わが友が入院させられるだと、それを阻止するのが友達の役目、まずはこの冒険者ギルドを廃墟に」
ブランディ―は右手に黒い塊を召喚している。
「ちょ、まてええええ」
「きゃあああああ、本当に廃墟になっちゃうわああああ」
「お、それ美味しそうだな」
ばくりと暴食のネメがその黒い塊を食べ、
お腹が爆発する音が聞こえても平気そうだった。
「もうやだ。このめちゃくちゃパニック、誰か受付代わってえええええええ」
「落ち着くんだ受付嬢、ヒステリックはいけない」
「ヒステリックにもなりたくなるわ、この異常な新米ランク外冒険者め」
「それは褒めているのか?」
「違うわよ、とりあえず冥王ブランディ―さんも冒険者に登録したから、よかったわね、どっかいって」
「次のクエストはあるか?」
「あなた休むという言葉を知らないの? さきほどまで数億の敵と殺し合いしてたのよ」
「まぁ考えるより動けっていうじゃないか」
「言わないわよ」
「え、言わないの? 僕は周りの奴らによく言われたぞ」
「その村人たちは相当ポジティブなのね」
「まぁそんなところです」
「てーへんだああああああ」
冒険者ギルドがばたんと開いた。
その時またランク外クエストが始まる様だ。
僕はにやりとほくそ笑み、冒険者ライフを謳歌するのであった。
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