第510話 No.1ギルドとNo.2ギルドの衝突
蓮見率いる【深紅の美】ギルドは攻撃と防御に適切に戦力を振り分け戦っていた。
現在美紀が三方向に別れ少しずつではあるが確実にポイントを稼いでいる。
防衛面では姉妹の二人がこれ以上の戦闘は意味がない、と判断し後退しギルドへと戻っている途中。
朱音はというと……まだ情報がないのでわからないが、少なくとも負けることはないだろう。と言うのが蓮見の意見である。瑠香と七瀬のようにメッセージでエリカに何かしら送ってくれたらわかるのだが、なにも連絡がないからである。
「二人だけじゃなくて、里美もそろそろ疲れたから戻ってくるらしいわ」
「ちなみに朱音さんは?」
「さぁ? 連絡がないってことは戦ってるんじゃない?」
「なるほどー。でも一人異常な安心感がありますね」
「言えてる」
「「あはは~~~」」
愉快な笑い声が【深紅の美】ギルドの(本)拠点の中で響き渡る。
イベントが始まって早三十分以上が経過した。
現在の順位は四十二ギルド中二十八位とそこそこに悪くない。
なんせ今イベント唯一の小規模ギルドでありながらまだ死者は出ていないからだ。
それでいてこの順位はかなり順調と言えよう。
ただし後半戦は間違いなくどこのギルドも情報収集を終えて今より攻勢的になる可能性が高く油断はできない。
それにイベントで入賞を狙うなら後半戦は【深紅の美】ギルドも今よりハイペースで動いていかなければならないだろう。
ただし一騎当千のメンバーが故その素性の多くは割れており対策がされている可能性が高い。その中でキーとなるのはやはり今甘えん坊タイムに入ったエリカの肩を揉んでいる甲斐性な……女の尻に引か……えっ……と……THE COOL & BEAUTEFUL KURNAI 君だろう。。。
犯罪履歴ならぬ神災履歴なら誰にも負けない。
「そう言えば前回のイベントの時は惜しくも負けちゃったわね」
「……ぅう、すみません」
前回後一歩のところで限定アイテムをもらえなかった蓮見。
ただし、朱音と美紀、そしてルフランに次ぐ第四位。
初心者プレイヤーがこの三人に続いた実績はかなり優秀であることはエリカも承知している。
「いいの、いいの。気にしないで。そんなつもりで言ったんじゃないから」
それに、とエリカが心の中で。
(確かに入賞者限定の神殺しの礼装装備は強力だった。でもその劣化版は第四層のショップで結構割高だけど売られてるしね)
と、続けた。そんなわけで一人大金をつぎ込んで現在出てる市販の神殺しシリーズをマネーの力で唯一コンプリートしたエリカは神殺しについて熟知している。当然イベント専用の神殺しについても美紀のを拝借して研究済みである。
なによりエリカが初めに蓮見を此処に残した本当の理由は――。
(市販のでも神殺しシリーズの多くはアイテム効果によって発生するダメージを二割もしくは三割カットというとんでもない紅君殺しアイテムなのよね~、はぁー)
と、言うわけである。当然前回イベントの入賞者限定のオリジナルはそれを凌駕する。露骨な神災対策は【深紅の美】ギルドにとってかなりの痛手というわけである。
アイテムの持ち込み制限と神殺しの礼装。
この二つが蓮見の力を強引に制御してきたのだ。
「そう言えば神殺しの礼装シリーズもう見た? 第四層のショップでも売ってるんだけど?」
「なんです、それ? 食べ物ですか?」
「……うっ、う~ん」
と、当の本人はこんな調子でエリカはこの件に関しては内心諦めている。
今から事実を伝えた所でもう手遅れな気しかしないからだ。
「まぁ、いいわ。なら今度は腕のマッサージお願い~♡」
「わかりました」
ドキッ!!
肩の時は背後で見えなかった蓮見がエリカの隣に座り直したことでエリカの心臓がビックリして鼓動が速くなった。
あっ、ヤバイ。
直視できない……キャーーーーー♡
と、顔には出さないが二人の時間を満喫しているエリカ。
だが、エリカの心臓がドキッ!! とした時だった。
別の場所でも――ドキッ!! としている者たちがいた。
統一された装備と徹底された動きは正に軍隊。
とも呼べる隊に同じく統一された装備と完璧なコンビネーションで空からの奇襲を仕掛ける隊。統一された装備とは、神殺しの礼装を意味する。
どちらもが情報収集を終え、敵陣ギルド拠点へと向かう途中だった。
そして双方の目的地がお互いの拠点の為、必然的に衝突した二つの隊は【ラグナロク】と【雷撃の閃光】の精鋭部隊同士だった。
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