第420話 六人集結と蓮見からの提案


 半透明のふりるやパレオをセパレートに付けた水着でやってきたのはエリカだった。

 恥じらうどころか堂々とした姿にゴクリと息を呑み込む蓮見。


「お待たせ、蓮見君。どう? 私の水着は?」


 蓮見が知る限り、こんな美女を知らない。

 やはり、と蓮見は脳内で結論付ける。

 普段から押し当ててくるソレは今まで気のせいかとも思っていたが違ったと。

 そう初めて見るその光景――エリカの胸は弾力があり柔らかいだけでなく大きい。

 表情から見るに蓮見の好みに合わせてきたのだろう。

 その確信めいた小悪魔的な笑みに蓮見は言葉を失ってしまった。

 珍しく今回は大人しいと思っていたが違った。

 蓮見の心を一瞬で惹きつける切り札を隠し持っていただけに心に余裕があったのかもしれない。例え朱音が相手でも負けない、そんな意思があるのかもしれない。

 トップレスからこぼれそうになるソレは今まで見ていた服越しではなく直接見るにはあまりにも毒、視線を逸らさなければと思うのに視線を釘付けにする破壊力、なんともお、恐ろしい。


「ま、マジか……ははははんそくだろ……ソレ」


「ふふっ、なんなら直に触ってみたいとか思ってる?」


 誘惑。

 それは純粋無垢な男子高校生という生物を理解した女子大生からのお誘い。

 今まで服が邪魔してこんなに素晴らしいソレを直接拝むことはできなかったが今日は違う。やはり今年の夏は何かが違うと。


「ぬぬっ、なんなら顔を埋め――エリカさん卑怯ですッ!」


 その言葉にまんざらでもなさそうに喜ぶエリカ。


「そ、そんなんじゃないわよッ? た、ただ、私なんかで良ければ……とかね……」


 やはり直視されるは恥ずかしいのか少し照れながらも上目遣いのエリカに蓮見の心臓が高鳴りだす。と、ほぼ同時にエリカの後ろから声が聞こえてきた。


「お、お待たせ。似合ってるかな……水着?」


 エリカの背中からひょっこと顔を出し、身体を出した美紀が姿を見せる。

 先程遠目で確認したばかり。

 だけど蓮見の脳内が遠目で見るのと近くで見るのは全然違うと訴えかけてきた。

 今まで学校のスク水姿はなんだかんだ見たことがある。

 だから美紀の水着姿はある意味初めてじゃないはずなのに。

 それなのに胸の奥が燃えるように熱くさせられる。

 例えるならゲームで最高潮にテンションが高い時のように。

 熱く燃える胸の奥の炎は業火となり、可憐に美しく燃える薔薇のよう。

 ただでさえ美しい薔薇は火を纏い燃え尽きるのではなく、美を際立たせせる。

 言うならば薔薇の前では火ですら装飾品の一つに過ぎないのかもしれない。

 普段から可愛い一面や綺麗だなと思う瞬間はある美紀、だからこそ蓮見が好みの水着を着てくれたらと思い選んだ水着。

 水着自体はとてもシンプルでオレンジ色をベースに緑色や水色の水玉があり少し派手でありながらもじもじと恥じらう姿は反則。


 脳が感動し目から涙がこぼれる。

 なぜ泣いたのかはわからない、だが後悔はない。


「す、すげぇー、あぁ……もう死にたい……」


 あまりの感動に蓮見は放心状態に近い状態で言った。

 だがそれを聞いたエリカと朱音は、ぷくっと頬を膨らませて、


「――浮気はだめ。お姉さんだけを見なさい!」


「……あらあら? ダーリンは私に告白したんだから目の前で浮気はだめよ?」


 実の娘である二人ですらどこまでが演技でどこまでが本気かわからない朱音の言葉と行動。


「ば、ばかぁ、死んだらもう見れない……ちゃんと私の側にはいて……」


 ゴクリ。

 と息を呑み込んだ蓮見は何度か頷き一人何かを納得する。

 あー、もう満足。

 そんな言葉で心を満たされた蓮見は今まで誰にも見せた事がない満面の笑みで口を開く。


「……もう満足したよ、俺……。後は皆で仲良く遊んでくれていいよ」


 天を見上げると白い雲と太陽の陽が作りだす綺麗な水色の空が広がっていた。

 あー世界は平和だ。素晴らしい!

 今までにない以上に心が満たされた蓮見は男に生まれきてよかった、と涙し感動する。

 ――世界は平和。

 ――俺は選べないこの中から一人を

 ――なぜなら五人全員俺は――


「えっ?」


「はいっ?」


「うそっ?」


「ちょ?」


「ん?」


 美紀、エリカ、七瀬、瑠香、朱音が驚いた。


「いや、アンタも一緒に遊ぶに決まってるでしょ!」


 と美紀の一言に悟りを開いた蓮見が意識を天から地上に戻す。


「私は蓮見と一緒に遊びたくてここまで来たんだから!」


 珍しく素直になった美紀。

 ――ん?


 ――俺はもう満足したんだけどな


 ――あれ? これってもしかして……女の子からのお誘い=ハーレム???

 

 ――ふふっ、


「…………んー、ならいっちょ真面目に遊んでみるか!」


 にやぁ、と蓮見、


「なら、俺が勝ったら今夜は混浴をかけてもらおうか!」


 が宣言した。

 と、いうわけで夜の準備運動がリアルで始まった蓮見君率いる【深紅の美】ギルド。




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