第364話 天守閣で待っていた者
大きくジャンプしあけた穴を通り天守閣のフロアに着地した蓮見。
本来であればここに来るまでに最低三回は闘わないといけない中ボスと一度も戦闘をせず、城内を徘徊している沢山の見回り武士との戦闘さらには沢山の罠も全て回避した。
なので必要最低限のスキルと見立て最短ルートかと思われる道なき道をやって来た蓮見はヘラヘラと笑いながら口を開く。
「よっ! なんとかここまで来れたが、ここ最上階なだけあって結構広いな。その割には一人って随分と贅沢な将軍だな、お前」
「よくぞここまで来た。度重なる試練を乗り越えここにやって来たのは貴様が初めてだ。――と言いたいが少々お痛が過ぎたようだな」
正規ルートで来ていない為、会話にずれが生じる。
「試練? あーもしかして俺の全力シリーズ砲弾全力駆け抜けのこと?」
「そうだ。降り注ぐ天井の毒矢、巨大な鉄球が降り注ぐ死の廊下、さらには我が配下が護る天守閣へと続く天守儀式の間」
「……ん?」
話しの意図が見えない。
一体何を言ってるんだ?
もしかして頭のネジがぶっ飛んだのか?
困り顔の蓮見に将軍は言葉を続ける。
「全てをクリアした貴様には最大の試練を此処で与える」
「…………」
「死んでいった者達の仇ここで取らせてもらう。さぁ、全力でかかってこい!」
すると将軍の名前と一緒にHPゲージとMPゲージが出現する。
名前はスカイ。
武器は槍。
体格の良い肉体は派手な装飾と一緒に防具で護られている。
下手に近づけば一瞬で力負けるだろう。
が、見た感じ何処か動きやすそう。
だけど蓮見はクスッと微笑みを溢す。
「なんか知らないけどこのまま戦闘パターンなら大歓迎だぜ♪ これが里美とかだったら逃げてたけどお前相手ならなんとかなりそうだからな!」
前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない発言をする蓮見。
その間にもスカイの戦闘準備が着々と終わっていく。
「では参る。挑戦者にして狼藉者覚悟!」
鎧を装備した背中からブースターが飛び出し加速。
そのまま推進力を利用した槍の一撃に蓮見の身体が吹き飛ばされた。
――!?
なにが起きたかすぐ理解できなかった。
だけどスカイはそんな蓮見に容赦なく突撃し連撃を叩きこんでくる。
「手加減はせんぞ!」
強気なスカイに背中を見せて逃げることで距離を稼ぐ蓮見。
「……非常識にもほどがある……背中からブースターが生えるとかどこのロボット漫画だよ……ったくもう!」
走りながら首だけを後ろに向け状況を確認。
だけど非常識という言葉が似合う人間が言ってもその言葉の説得力には欠ける。
人様の家に穴をあけ突撃訪問一体どっちが非常識と言えようか。
「っぶねぇ!?」
蓮見を力技で真っ二つにする勢いで振り下ろされる一撃。
慌てて弓を構え矢を放つことで槍の側面にあたる部分を的確に射抜き軌道を逸らす。そのまま半身になって今度はこちらが連続射撃をしてダメージを与えて行く。
「グハッ!?」
通常攻撃の中に混ぜられたクリティカルヒット。
それによってスカイのHPゲージが削られていく。
「スキル『連続射撃3』!」
徐々に距離を取りながら攻撃の手数を増やしていく蓮見。
だけどそれを正面から突破してくるスカイ。
「舐めるな! ウォォォォォ!」
雄たけびながら飛んでくる矢のダメージをやせ我慢で耐えそのまま蓮見に突進。
再び蓮見の身体が吹き飛ばされる。
「いてて……ん!?」
背中から地面に落ちたと思った直後。
天井を見ていた視界から槍を振り上げ落ちてくるスカイが目に入った。
すぐに身体に力を入れて起き上がり回避行動に入る。
「まだ俺の攻撃は終わってないぜ! スキル『連続射撃3』『虚像の発火』!」
「笑止」
身体の向きを変えると同時に膝を折り燃える矢を間一髪で躱してきた。
「スキル『パワーアタック』『アクセル』『連撃の舞』!」
「こ、これは、里美の!? まずっ」
ブースターによる急加速とは別にさらに速くなったスカイの動きに反応が一瞬遅れた。
そのまま肉片のように刺し刻まれていく。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
身体中が痛い。
最後は蹴り飛ばされ、天守閣の間を転がる。
痛みに耐え、目を半開きで開けば追撃をしようと走ってくるスカイ。
まずは攻撃よりも相手の攻撃を回避する事が優先だと考えた蓮見は痛みを我慢し身体に力を入れてすぐに立ち上がる。
「スキル『迷いの霧』!」
相手の視界を奪いその隙に乗じて態勢を整えようとするが、無造作にそれも力任せに横に大きく薙ぎ払われた槍にまたもやダメージと一瞬に身体を吹き飛ばされてしまう蓮見。
だけど今回は黙ってやられたわけじゃない。
槍が身体に触れる瞬間に取り出していた手榴弾の置き土産が爆発しスカイにもダメージを与える。
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