第251話 蓮見の発狂に美紀ちゃん納得
「後は電話とかLineとかで連絡取り合っているうちに……気付いたら結構仲良しになってたって言うのが今の現状ですので、途中から鋭くなった視線を元に戻していただけませんでしょうか、美紀様」
ここで美紀は推測する。
エリカの奴、私達が修行している間に蓮見の心の弱みに寄り添って好感度UPとはズルい事を考えたなと。確かにこれなら短期間で仲良くなる事も可能だし、ミニイベントで頭がいっぱいの美紀の目を盗むにはうってつけとも言える。今思えばエリカが蓮見の家に来た辺りから二人の関係性が変わり始めている事に気付くべきだったと。
「ねぇ、はすみぃ?」
その言葉に蓮見の背筋がピンッと伸びた。
小悪魔美紀ちゃんが降臨されたからだ。
「は、はい!」
「ゲームの中でエリカにキスされた日の事覚えてる?」
「は、はい……覚えています」
「一応確認だけどリアルではしてないよね?」
「う、うん」
(不可抗力とは言え頬っぺはセーフだよな)
「ちなみにエリカ美人じゃん」
「うん」
「最近仲いいみたいだけどエリカに好きな人がいるの知ってる?」
「………………」
蓮見の目から光が失われていく。
そしてついに黙ってしまう。
「……あれ? はすみぃ」
小首を傾げる美紀。
どうしたのだろうと思い、顔を近づけてみる。
すると一粒の涙が……零れた。
「……あぁぁぁぁ%$”>)<¥▽■☆!)(?#%#」
突然頭を抱え発狂する蓮見に美紀が驚いて距離を取る。
もしかして蓮見の好きな人ってエリカ……そう思うと美紀の目が急にウルウルし涙が勝手に流れてきそうになる。それでも唇を噛みしめて我慢する美紀。この場から離れるまでは絶対に泣かない! と心が締め付けられる感覚に襲われながらも見栄を張る。
「なんでだぁ!!! 美紀もエリカさんも好きな人がいるなら俺に……俺に……ワンチャンあるかもとかもう思わせないでくれーーーーーーーーーーーー!!!!!!!! それと七瀬さんと瑠香もだよーーーーーーーーーーーーー。俺は童貞でモテない自覚があるからこそ下心とかなしで接してるんだぁぁぁぁぁああああああ!!! なのにどうして俺の周りは俺を期待させて落とすS女が多いんだぁぁぁぁぁ!!! こ、これが……モテない男の性だと言うのか……くそっおおおおおお!!!! 俺はゲームでカッコイイ所見せて一人でも多くの人(女性限定)にモテたいと言う心しか今はないのに!!! そりゃあわよくばゲーム楽しみながら彼女とかも思ってるけどさ……俺だって健全な男子高校生なんだよ……それくらい許してくれよ……美紀……エリカさん……七瀬さん……瑠香……頼むよ……」
ベッドの端から地面に崩れ落ち四つん這いになった蓮見の目からは大粒の涙がポロポロと落ちている。
それを見た、美紀は心の中がすっーと軽くなりため息しかでなかった。
結局下心しかないし、蓮見の進化が異常に早い理由がようやくわかったからだ。
そしてエリカは前々からそれに気付いており、それを利用して蓮見との距離を一気に縮めてきたのだとも。流石計算高い女だと言える。なぜなら今の蓮見は私とエリカの間で強く揺れている、と蓮見の発言とここ最近の二人の仲の良さからそう思わされたからだ。美紀がリードすればエリカが手を打ち、エリカがリードすれば美紀が手を打つ。そして二人の目を盗み七瀬と瑠香が蓮見を狙う。何とも【深紅の美】ギルドは女の戦場ギルドと言っても間違っていない気までした。
「……はぁ」
(全員蓮見の事が好きなんだけどな……。だから皆裏では駆け引きしてるんだよ……)
もしかしてエリカともう付き合ってたりする? と思った自分が馬鹿馬鹿しくなってしまった美紀はニヤリと密かに微笑む。
これはある意味チャンスなのだと。
そう思った時にはもう美紀の心の中にエリカに対する嫉妬心は限りなくゼロに等しく今から振り向かせればそれはそれでいいのではないかと前向きな考えを持っていた。
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