第227話 【神眼の神災】からの挑戦状
「そっかぁ。でももしかしたらルフランとも戦うかもしれないからそこは臨機応変にだね」
「わかってるって!」
楽しそうな姉妹の会話に蓮見と美紀が暖かい視線を送る。
そんな暖かい視線に気付いた七瀬はチラッと視線を別の場所に移す。
相手の気が緩んでいる一瞬の隙を突き、隣に座る美紀へと左手を伸ばす。
ムニュ
「おぉーやっぱり柔らかいねー」
赤面し頬を真っ赤にする美紀とそれを見て「おぉーーー!」と言って目の瞳孔をバッチリ開き観察する蓮見の視線が重なる。
それから美紀は両手をクロスさせて胸元を見られないようにとするが、七瀬の左手がもみほぐすようにしてムニュムニュと動いているせいで変な声が出てしまった。
「……ぁあ、……ぅう……」
「どれどれ」
そして美紀の腕の隙間から今度は瑠香が手を伸ばし触ってくる。
「なるほど。右がミズナさん、左がルナか。いいなぁー俺も触りたいのに……」
心の声がポロリの蓮見。
いっそのこと触りに行こうかと席を立とうとするが、美紀が全身を小刻みに震わせているのに気が付き思いとどまる。唇を噛みしめ羞恥心で一杯になった美紀が涙目になりながら反撃する。
「このバカ姉妹!!!」
バチ―ン!!!
「だから紅の前では絶対に触るなって何度言えばわかるの!!!」
涙目になりながら平手をした七瀬と瑠香に叫ぶ美紀。
「「いてて……」」
それから二人は美紀の顔を見て、
「「ごめんなさい。今ならいけると思ってつい触ってしまいました」」
と反省しながら謝った。
「てかそんなに触りたいなら自分の触ればいいでしょ!」
「だって……」
七瀬が瑠香の顔を見て。
「ねー」
瑠香が七瀬の顔を見て言った。
「里美の方が大きくて触り心地いいからつい……」
「里美さんの大きくて羨ましいからつい……」
「「触りたくなるんです」」
その気持ちはわかると蓮見がウンウンと頷いていると、鋭い視線が美紀から向けられてしまった。
「紅?」
ゴクリ。
「何でもありません」
「ミズナ、ルナ?」
「「本当にすみませんでした」」
美紀の怒りについ三人が固唾を飲み安易な行動は身の危険に直結すると判断する。
それから美紀の怒りのげんこつが二人の頭に降り注ぎ、お説教を十五分受ける事となった二人。そして蓮見に見せつけるようにして七瀬の胸が美紀の手によって掴まれ揉むのではなく捻るようにしてグルリとされた。それを見た蓮見は痛そうと思った。
「あぁぁぁぁぁぁぁああああああ」
悲鳴が一つ聞こえた後は瑠香の悲鳴が続いて聞こえた。
「いたぁぃぃぃぃぃぃぃぃいいい」
地面に倒れもぎ取られそうになった胸に手を当て苦しむ二人を見て蓮見はお気の毒にと思ったが、なぜかこれはこれで嬉しそうに見えなくもない二人の顔を見ていいなぁー俺も七瀬さんか瑠香のでもいいから触ってみたいなーと煩悩が働いてしまった。
だけど男の俺が触ると色々と問題があるんだよなーと蓮見は自分が男に生まれた事を強く後悔していると美紀から声をかけられる。
「真面目な話しに戻すけど今回一人行動でいいの? なんなら私達とチーム組んだ方が効率はいいと思うけど?」
「うん。それにさ――」
「ん?」
「俺さ、実は里美ともイベントで戦ってみたかったんだよ。ほら第一回イベントで俺ボロ負けしたじゃん。となるとさこうゆう時しか機会がないというか何と言うかさ」
嬉しそうにして笑みを浮かべる蓮見。
そんな蓮見を見て美紀も笑みを浮かべる。
正確には口角が上がってしまった。
「なるほどね」
「まぁな」
「私に勝つ自信あるの?」
「さぁな。でもゼロではないと思ってる」
「そう、ならいいわ。私達は二手に分かれてそれぞれのやり方で上位入賞を狙うってことで。異論はないわね、ギルド長?」
「あぁ!」
痛みから復帰した変態姉妹はまさかこのような形で【神眼の神災】が自分達の敵として今回目の前に現れるとは思いにもよらなかったので黙って会話を聞いていたが内心ゾクゾクしてしまった。こうもトッププレイヤー達から狙われるだけでなく神災がこのような形それも反撃OKの状態で自分達にも今回降り注ぐのだと思うと、もう最高! と気持ちが可笑しくなってしまいそうだった。
「本当にいいの? 少なくとも私は手加減しないよ?」
(粉塵爆発の一件まだ忘れてないから)
「はい」
(実際問題七瀬さん一人なら走って逃げられるし)
「紅さんなにか秘策でもあるんですか? 先日私達にボコボコにされましたよね」
(この短期間でまた成長したのかな……)
「まぁな。なんなら軽く手合わせしてみるか?」
(エリカさんありきでだけど水爆も進化したからな。コスパは最悪に悪いけど……)
「自信あるんですね。いいですよ、ではフィールドに行きましょうか」
(なんか嫌な予感がするな……)
瑠香が返事をして四人はフィールドへと向かった。
そして三人は【神眼の神災】の異名が伊達ではない事を再度認識した。
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