十九章 仲間の成長と目覚め
第198話 まずは情報共有とそれぞれの方向
蓮見の視界の先にパネルが出現する。
内容はクエストクリアのお知らせとスキルゲットのお知らせだった。
「『白鱗の絶対防御』……なんだ?」
手に入れたスキルを確認する蓮見。
――VIXを10%アップし、致死性のある攻撃を受けた場合10%の確率でHPを1にして耐える。自動発動スキルの一つ。
「つまり俺様はこれから10%の確率で死なないと!? マジか! やったぁ!!!!!」
大きくガッツポーズをして喜ぶ蓮見。
これでHP満タン時は『不屈の精神』で耐える事ができ、火事場や『風を超えて』の為にHPをギリギリまで減らしても10%の確率で死なない事が確定したのだ。こうなると今までみたいに攻撃を喰らったら即負けが低確率ではあるがなくなる。これは蓮見にとってはとても強力なスキルだった。それにもし耐えればHP1、つまり正真正銘の不屈の精神を使わずにステータスをギリギリまで強化できると言う見方も出来るし、10%の確率を連続で取れば最大ステータス状態でも死なない。その確率は1%未満ではあるがゼロではない以上可能性としては無視できない。
「うふふっ、アハハ! やべぇ、ついニヤニヤが止まらねぇ!!!」
正にただでさえ敵にしたら厄介な人間が更に厄介なスキルを手に入れた瞬間だった。
すると、さっきまで閉まっていた倉庫の出入口となる扉が勝手に開いた。
この後少しだけ周囲を見渡したが何もなかかった。
すると美紀からメッセージが来ていた事に気が付いた。内容として、第三層について後日一回ギルドホームに集まってから話し合おうのとそれまでは各自情報収集の為自由活動と言う内容のメッセージだったので最後に『了解!』と返信をしてからログアウトした。
数日後。
美紀からの招集に、【深紅の美】ギルドメンバー全員がギルドホームに集まっていた。
それから各々が集めた情報を共有する。
「一応聞いておくけど、紅は変なスキルまた取ってないよね?」
美紀が念の為に確認する。
「…………うん」
「「「「うそだーーーーーーー!!!」」」」
ギルドメンバー全員がギルド長を指して大声で言う。
普通のギルドでは一番偉い相手にそんな事をすれば色々と問題になるがここでは当たり前。
「正直に言いなさい。どんなスキル?」
「うーんと、簡単に言うとHPがゼロになっても10%の確率でHPを1にして耐えるスキルかな」
「そっかぁ。なら一旦それは聞かなかったことにしてとりあえず一回本題に入りましょう」
美紀は今日の本題に入る。
それはこの第三層今までの第一層と第二層と仕組みが全然違ったのだ。
今までは自分達のレベルに合わせて、NPCがいる所に行くことができた。
多少なりとも条件があっても比較的に全員が取ろうと思えばとれるスキルや魔法使い専用スキル――通称魔法も取れた。
だが今回からはそうは行かなくなっていたのだ。
蓮見は情報を集めると言う事や気にすることすらないので今聞いている事は全て初耳なのだが、第三層はギルドに所属していないと取れないスキルや魔法が幾つかあるとのことだった。それは魔法陣を使うスキルのようにかなりの手数を踏まなければならないのが、その条件の一つにギルドに所属するがあるのだ。それ以外にもギルドにゴールドを××ゴールド以上寄付するなど運営が今まで以上にソロよりギルドに所属した方がアドバンテージがある方向にゲームをアップデートしてきたのだ。寄付するだけで手に入るスキルは多岐にわたり、戦闘プレイヤー以外も生産職プレイヤー専用スキルなども用意されているのだ。
幸い小規模ギルドの為にまだ寄付レベルなどが低いことから、一度皆に意見を聞いて、そう言ったスキルが欲しい人を中心に皆で協力していかないかと言うのが本題だった。
「なるほど」
「ちなみに紅はそうゆうのある?」
「ない。俺はのんびり楽しくゲーム出来たらいいから」
その言葉に全員が『それで巻き沿いを喰らうのが私達の役目と?』同じ事を思い表情を歪めさせたが、蓮見には届かなかった。
「……ゴホン」
美紀が咳払いをして、エリカ、ミズナ、ルナの順番で聞いていく。
「私は勝手に欲しいのがあったら寄付するから大丈夫よ。まぁ最悪ゴールドに困ったらピッケル最強伝説みたいなものを作ってもらえれば――」
エリカはチラッと蓮見を見て微笑みながら答える。
「――問題ないかな」
「私は幾つか欲しいのあるけど、里美とルナがたまに協力してくれたなんとかなるかな。この『剣、槍、レイピアのいずれかを装備したギルドメンバー二人以上と協力して、闇将軍率いる騎兵隊を制限時間内に倒す』ってやつとかだから」
「それなら任せて。私もミズナの手伝うから私のもお願いね」
「当然。とりあえず私は里美とルナ優先でも構わないかな」
「いいの?」
「うん。私ってほら魔法陣使う魔法を既に二つ持ってるから今は火力の心配はしてないから」
「わかった。ならルナはどう?」
「私は必殺となるスキルがすぐにでも欲しいというか……。第三回イベントで一番死んだのと皆さんの足を引っ張ってしまったので」
申し訳なさそうに瑠香が答える。
「あーいいの、いいの。ルナ大活躍だったからそんなに気にしないで。ならミズナ悪いけどルナのスキルの次に私達は相談して上手い事しましょ?」
「わかったわ」
「二人共ありがとうございます!」
「「は~い」」
瑠香の笑顔を見た美紀と七瀬がほほ笑む。
「紅はギルド関係のクエストとか受ける予定ないみたいだから少し自由行動になるけどいい? それとも私達と一緒になにかする?」
ここで七瀬は一人頷き「仲良くは大事だよな」とギルド長みたいなことをボツボツ言っていた蓮見に質問する。
「はい。大丈夫です。とりあえず俺も力になるんで、必要な時は呼んでください。それまでは色々と見て回りたいので」
「わかったわ」
「なら解散!」
美紀の言葉に合わせて全員が別々に行動を始めた。
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