第十五章 まだ負けていない者達
第158話 実に興味深い相手
蓮見が拠点の床の上でゴロゴロとしそれを美紀、エリカ、七瀬、瑠香が相変わらずよく落ち着いているなと拠点の隅で暖かい目で見守っているとエリカの罠に誰かが引っかかり爆発音が聞こえてきた。
蓮見達は急いで外に出て武器を構える。
そして数々の罠を突破し姿を見せたのは不敵な笑みを浮かべた一人の少女とその少女を護衛する三人のプレイヤー。
更にそこには本来いるはずがないソフィもいた。
そう彼女達は防衛を手薄にしてでも倒さなければならない相手だと判断しわざわざここまで来たのだ。
本来であれば眼中にすら入る事がない小規模ギルド。
だけど無視ししたくても小規模ギルドでありながら、ポイント数こそは少し少ないが保有拠点数だけで言えばあの【ラグナロク】といい勝負をしている。
小規模ギルドでありながら大規模ギルドとも互角に戦うギルド。
あの後聞いた報告では【灰燼の焔】ギルドのギルド長並びにスイレンとも正面から戦い引き分けに持ち込んだらしい。
それは七瀬や瑠香の力を借りてかもしれないが、暫定順位四位以上の力を蓮見が持っている可能性を大きく示していた。
何より数十分前された宣戦布告にはかなりカチンと来たし、イラっとした。
あの後一体どれだけのプレイヤー達が襲って来たか……思い出したくない。
そのため綾香の闘争心は過去最高潮に高まっていた。
そして初心者でありながら、その発想力と度胸だけで奇跡を起こし続けてきた男と戦い勝利する。それこそが今の綾香の行動理由であり、戦う理由でもある。
そしてソフィもこの目で見て見たくなったのだ。
トッププレイヤー三人をギルドメンバーとするだけでなく、その三人にここまで慕われる男の実力を。何より生産職の中では一位、二位を争うエリカまでもがここまでご執着な男を。
いや……正直に言うと、期待しているのだ。
この男ならば、私がずいぶん前に捨ててしまった綾香のような好奇心にも似た戦闘意欲が戻るのではないかと。
周りに影響を与えるこの男に会うためにソフィは全ギルドメンバーを納得させた上でここまできたのだ。
――神眼の天災はまだ進化するかもしれない。
すると、それに続くように綾香が言った。
――違う。多分神眼の天災はもう進化している。だから投影をリュークとの戦いで使った。それでもこの私を倒す何かを持っているから……。
綾香の言葉はある意味的を射抜いていた。
そう。
なぜなら。
運営が途中経過で送って来たランキング表には順位とは別に各ギルドの拠点保有数が載っていたのだがそこの数字は現時点で圧倒的な力の差を見せつけ二位である【雷撃の閃光】ギルドを軽々と突き放す【ラグナロク】と同じ拠点数を【深紅の美】ギルドが保有していたことである。一人一つの拠点を護っても護り切れないはずなのにそれを可能にできる人物等このゲーム内においては一人しかいない。ある報告隊から聞いた、「噂ではありますが北の拠点が、ある人物二人に簡単に全て落とされたらしいです。もしかしたら【ラグナロク】かもしれません」と言う報告は【ラグナロク】ではなく【神眼の天災】だったとすぐに気付いた。
普通に考えては、あり得ない。
だけどこのギルドにおいては最早それが普通なのかもしれない。
だったら先に叩いておくしかない。
これ以上、この男に暴れられては【雷撃の閃光】ギルドとは言え無傷どころか大怪我を負わされてしまうかもしれないからだ。
だからこそ、今すぐに動かせる最大戦力でやって来たのだ。
近くには【灰燼の焔】ギルドメンバーもいたので、こちらのギルドメンバーに頼み足止めをしてもらっている。狙うギルドは同じでも敵同士。こうなると【雷撃の閃光】VS【灰燼の焔】も考えなければならない。本当にたった一人の男にこれだけ振り回されるとは……実に興味深い――神眼の天災。
だけど遊んでいる時間はあまりないのも事実。
故に手加減はしない。
蓮見が弓を構えると同時に全員がそれを合図に動き始め戦闘が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます