第146話 両ギルドのギルド長同士の対面
「お前達は拠点の護りだけに集中していろ。そこの三人は俺とスイレンがする」
そう言うと、リュークは鋭い眼光で蓮見を睨みつける。
切り札であるリュークの参戦にスイレンが胸に手を当て安堵している。
七瀬はすぐに瑠香に合図を送り、蓮見を護るように立ち、すぐに美紀に連絡を入れる。
両ギルドのギルド長同士の対面。
本来であれば大規模ギルド同士の衝突において最後の最後まで起こることがないであろう光景に周囲の空気がピリピリとし始めた。
「悪いがこうなった以上、お前を倒す【神眼の天災】!」
たった一言。
されど一言。
だけどリュークのその言葉には強者だけが持つ覇気みたいなものが確かに存在していた。
そして次の瞬間、蓮見の身体が後方に飛ばされる。
七瀬と瑠香も突然の事に驚いたがすぐに状況を把握する。
「紅!」
「紅さん!」
二人はリュークに蹴り飛ばされた蓮見の心配をする。
視界の左上にある蓮見のHPゲージは一割程度とかなり危険な状況である。
更にリュークは大剣を手に取り、怯んだ蓮見に突撃する。
「スキル『加速』『鬼神』!」
『鬼神』は一分間STR+30をするスキルである。
これはマズいとすぐに瑠香が蓮見を助けに行こうとするがスイレンが邪魔をする。
このままでは蓮見が負けると思った七瀬はアイコンタクトで瑠香と意思疎通をしてスキルを使う。
「スキル『恵みの光』『導きの盾』!」
「チッ、ならばスキル『爆炎』!」
『爆炎』は敵にダメージを与える度に+20の爆発によるダメージを与えるスキルであり、七瀬が展開した導きの盾を容赦なく破壊する。正に力任せの技である。
「スキル『迷いの霧』!」
蓮見は慌てて毒の霧を周囲に展開して、リュークの渾身の一撃を躱して森の木の中へ逃げる。七瀬がHPを回復してくれたとは言え、HPは三割に満たない。これは蓮見のスキルを考えての事だとわかるが、一撃でもまともに喰らえばどうなるかは説明するまでもない。
「視覚を奪ったつもりか? スキル『炎剣』!」
リュークは中距離攻撃スキルを使う。
炎で出来た剣四本が蓮見を自動追尾し襲う。更にリュークは僅かな音から蓮見の位置を特定し大剣を振りかざしてくる。
自動発動スキルのおかげで何とか全ての攻撃を躱す事が出来た蓮見。
とは言っても全てギリギリ。
炎剣は連続射撃を使い強引に撃ち落とす形となっていた。
「『炎剣』をたった一射で……全て撃ち落とすのか……」
このまま攻撃を続ければ蓮見からの攻撃はない。だけど炎剣すら撃ち落とした蓮見相手ではリュークの一撃は全て躱されてしまう可能性があった。
こんな所に長いしていれば、他の大型ギルドに目を付けられるかもしれない。そうなればリュークとスイレンがいない、もしくは指示すら出せない支部拠点等簡単に落とされてしまうかもしれない。
故に勝負に時間を掛けるつもりはなかった。
「スイレン! お遊びはもう終わりだ!」
「かしこまりました!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます