第83話 【神眼の天災】対策
「あらあら。ミズナったら」
「エリカさん、これは?」
「これ? これはね、紅君が一人で無茶したのはミズナのせいかもねって冗談で言ったらいきなり心配を初めてね。まぁ見ての通り友達想いの子なのよ」
「紅本当にゴメンね、私のせいで。本当はちょっとだけ紅の力が見たかっただけなの。なのに私……私のせいで本当にゴメンなさい」
とりあえず一旦抱き着いてくる七瀬を両腕を使って優しく離す。
別に蓮見からしたら七瀬の為に頑張ったと言うよりかは自分の為に頑張っただけなので特に何も思っていない。ただ自分の勝手な行動が原因で二人に心配をかけた事には反省をしている。
「いえ。それよりお二人に心配かけてすみませんでした」
「そうよ……と言いたいところではあるけど、扉が開くと同時に大量の毒煙が出てきたんだけど中で一体何があったの?」
「ちょっと待って! 今思ったけどここのボス倒したの!?」
ここで慌てたように七瀬が質問してくる。
それは信じられないと言った表情をしていた。
「はい。毒の煙はボスの視覚と毒によるダメージを与える為に俺が『迷いの霧』を連発したからですね」
「は? 意味がわからない! とりあえずまずはそこに座って詳しく教えて!」
そう言って七瀬は近くにあった瓦礫の上に蓮見を座らせた。
その後エリカはさりげなく蓮見の隣に座り、七瀬は二人の正面にある壁に身を預けながら詳しい話しを聞く。
途中から二人の表情が無に変わる。
だが蓮見は気にせず最後まで話しを続けた。
その後、三人は一旦ギルドホームに戻る事にする。
蓮見とエリカが仲良く話しながら神殿を出るときに七瀬は二人のすぐ後ろでこう呟いた。
「やる事が噂以上なんだけど……てか紅めっちゃ楽しそう。そりゃ里美も惚れるわけだ」
七瀬は気づいた。
蓮見の強さの秘密に。
そして里美やエリカが蓮見を認めている理由に。
だから七瀬も蓮見を認める事にした。
だって、蓮見と戦っても勝てる気がしなかったから。
それは単純な力だけの勝負ではなく、もっと別の意味も含めて。
なにより、一緒にいた方がめっちゃ楽しそうだったから。
「って二人共私をおいて行かないでよ! 特に紅~あんたはギルド長でしょうがぁ!!」
七瀬は叫びながら、前を歩く二人に合流した。
その日ある神殿からありえない量の毒煙が出現したと噂になるまで時間は掛からなかった。第三回イベントに向けて通称『【神眼の天災】対策』はまず毒対策からと、この日なった。もはやイベント対策ではなく【神眼の天災】対策の方が重視される時点でどちらの方がプレイヤー達の中で重要視されているかは一目同然だった。
そして運営もまたこの事実に頭を抱え始めていた。
このままでは第三回イベントで【神眼の天災】が変な遊び方をして周りのプレイヤーを巻き込んでしまうのではないかと。
だが【神眼の天災】のおかげでゲーム全体が盛り上がっている事もまた事実。
よって運営ですら下手に弱体化処置等で安易に【神眼の天災】に手を出せずにいたのは当然プレイヤー達には秘密だった…………。
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