第3話 いざ!街の外へ
街の外に出ると初期装備の人間は誰一人いなかった。
皆各々が頑張って貯めたお金を使ってカッコイイ装備や可愛い装備をしていた。
正直羨ましいと思う蓮見。
場違い感を感じながらも人の邪魔にならない所まで移動する。
蓮見が人気の少ない奥の方まで来ると、
魔の森というだけあって沢山の魔物と呼ばれるNPCがいた。
NPCはぱっと見渡す限り、
スライム、ゴブリン、鳥、蛇、ハチ……etc
と身近なモンスターで溢れていた。
それにしても良く出来ているなと思いながら、
更に奥の方に進んでいると緑色の大きい鳥が飛んできた。
「ん? ん~もしかして……俺……餌だと思われてる?」
額に汗を流す蓮見。
そして戦う事を忘れて何故か走って逃げる蓮見。
今更だがゲームはよくするが、VRMMOゲームは初めての蓮見。
そんな蓮見にとっては大きい鳥が何の前触れもなく
突然襲ってきた感覚であるわけで頭の中はパニックで一杯だった。
そして武器を手に取り構えるのではなく逆にしまう。
つい、育成ゲーム感覚で経験値稼ぎは面倒だと思い込んだ蓮見。
しかし初心者なのにも関わらずいきなり魔の森に来た
蓮見は信じられない力を発揮する。
「うぉぉぉぉぉ!!!! 全力で全速ダッシュだぁーーーーーーーーー!!!!」
現実世界より少し早いぐらいの速度で
ありながら急降下してくる鳥から逃げる蓮見。
とは言っても逃げられるわけなく……
僅か五秒弱で鋭い爪で両肩を掴まれ空に浮遊してしまう。
「ちょい待て!!! これどうするんだ!?」
大きい鳥――ガーゴイルと呼称されている。
ガーゴイルはそのまま蓮見と共に天高く羽ばたく。
ジタバタした所でガーゴイルの足の爪の力は強く、
人間の力ではどうすることもできなかった。
「はて……どうするかな。この状況」
地上を見渡せば沢山のモンスターに沢山のプレイヤーが居た。
そのまま考える事――十分。
「これ……まさかの……降ろしてもくれなければ……殺してもくれない……パターン? ふざけんなぁ!!!」
これではどうする事もできないと空からの眺めを見て落胆する蓮見。
そしてある事に気付く。
このガーゴイルは間違いなくNPCとして予め設定された――地上十メートルより少し高い上のルート巡回をしているのだと。
普段なら戦う所を逃げるというあまり多くのプレイヤーが取らない行動? よくわからないがその為のバグか何かでガーゴイルは蓮見をどうするつもりもないらしい。攻撃すれば何かしらのアクションが起きるかもしれないがこのまま空から地面に落下して死ぬのは恥ずかしいのでそれはしない方向でいくことにした。
「良し! 決めた」
そう言って弓を構える蓮見。
当たるかは置いといてまずは地上のモンスターを手当たり次第に狙って射止める事にした。すると一撃では中々死なないが上空から攻撃されたモンスターが地上から走って蓮見を追いかけてくる。そのモンスターをただひたすら一方的に攻撃する。初心者から中級者向けの為か上空に対しての攻撃スキルを持っていないモンスターの攻撃は全て当たらなかった。地上五メートル付近で全て光の粒子となって消えていった。
「おおおおおっ! これはいわゆる嵌め技ってやつか! 何て便利がいいんだ!!!」
感動的なシチュエーションに蓮見のアドレナリンが頭の中で溢れ出す。
通称悪知恵と呼ばれるものに頭を支配された蓮見はどんどん攻撃をしていく。
それも一方的に。
もしこの光景を誰かが見たら提示版にボロクソ色々と書かれそうな状況があろうことが三時間も続いた。ただ弓なんて今までロクに触った事がなく何となくカッコ良さそうだからと言う理由で弓を選んだ蓮見の命中率はかなり悪かった。十本矢を放って一~二発当たればいい方だった。
すると頭の中で『スキルを獲得しました』と音声が流れてきた。
「んっ?」
一旦攻撃の手を止めて獲得したスキルを早速確認する蓮見。
スキル『イーグルアイ』
効果:地上にいても上空十メートル地点から敵を認識できる。
獲得条件:上空十メートル以上の場所から常に動き続けて五十匹以上のモンスターにダメージを与える。
VRMMOゲームを初めてする蓮見にはこのスキルがどれだけ貴重なのか知るよしはなかった。敵が上から見えると言う事は弓兵にとっての大きなアドバンテージいや今は蓮見だけが持つ固有スキルとでも仮名して呼んでもいいだろう。
スキルも一つ手に入れたし、そろそろ疲れたし地上に戻ろうと思ってずっと視界の上にいるガーゴイルの心臓を目掛けて矢を放つ。
すると、ガーゴイルが悲鳴をあげ光の粒子となって消えていく。
『レベルが二に上がりました』
空中にはクリティカルヒットという文字が出現すると同時に頭の中に『スキルを獲得しました』と音声が流れてきた。
スキル『イーグルアロー』
効果:敵、魔法を含め弱点を視覚化して認識できる。
獲得条件:上空十メートル以上の敵に気付かれず近づき初期装備のみで一撃で仕留める。
そんな天性の才能もない人間が偶然にも手に入れたスキルに喜んでいる暇はなく……今の蓮見にはそれよりも重大な事があった。
「コレどうするんだぁぁぁぁぁ!!! 地面が迫って――――――うおぉぉぉぉ!!!」
――ドガーン!!!!!
「ぅ……うぅ……うーん……」
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