拍手 142 二百三十九「使い勝手のいい悪魔」の辺り
×日目(日記を書き忘れた日もあって、日数がわからなくなった)
川にかかっていた橋が、壊れていて渡れなかった。どうも、数日前に降った大雨の影響で、川が増水、橋が流されたのではないかという事だ。
渡れる場所がないか上流に向かったら、おかしなもの達に囲まれてしまった。ベル殿は「ゴーレム」と呼んでいたが、どういう意味なのか。
ゴーレムというのは、近くの村に住んでいたサブローという男が作ったらしい。作り物だったのか……あまりいい造形とは言えないな。
ベル殿は、彼が話す言葉がわかるらしい。時折わからなくなる人だ。
その村に一晩泊めてもらう事になったのだが、彼はよく食べる人間だった。出した料理を泣きながら食べるその姿に、余程飢えていたのだなと哀れみを誘われる。
だが、その晩におかしな事があった。ベル殿が、食べて眠ったサブローを見ていたら、何やら彼に取り憑いていたものがあったらしく、それが勝手に消えてしまったらしい。
翌朝、起きたサブローは酷く怒っていた。何故「彼」を消したのかと、ベル殿に食ってかかっていた。
かっとなって彼を殴り倒しそうになったが、レモに止められて実現出来なかったのは悔しい。
結局、彼の事はベル殿が眠らせて、例の壊れた橋の側に置いておいた。
あ、川は車で何とか渡れたよ。あの車というのは凄いな。
○日
とうとう三番都市があるという山の裾野まで来た。これからどうやってあの山を登るのかと思っていたら、何とそのまま車で登っていく。
本当に、この車というのはどうなっているのだ? 私が考えても、答えが出る訳がないか。
三番都市の入り口は、山の中の岩屋の中にあった。これを見つけるのも大変だったらしいけれど、私にはわからない。
これまで見てきた地下都市のどれにも思う事だが、本当に六千年前のものなのだろうか。地下の街は今にも脇から人が出て来そうな程整っている。空だけは、薄暗い暮れ時のような空だけれど。
あれも、天井があってそこに空を映しているだけだと聞いた時は、何を言っているのかわからなかったけれど、今ならわかる。「すくりーん」という奴だ。
映像をそこに映すのは、これまでにも何度も見てきた。遠く離れた場所の事まで、瞬時に見られるのは凄い事だ。
でも、ベル殿はまるで当たり前の事のように扱う。これがどれだけ凄い事か、本当に彼女はわかっているのだろうか。
三番都市の支援型は、これまで見た支援型のどれとも似ていない。支援型は全部女性の形をしていると以前聞いたけれど、三番都市の支援型は男の子のようだ。
それをベル殿に言ったら、何だか曖昧な顔をされたのだが。何だったのだろう?
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