拍手 111 二百八「フラグが立った?」辺り
十二番都市には、広大な人工湖がある。
「地下に湖……」
「え? 地底湖とか、聞かない?」
「聞かねえよ……どこの話しだよそりゃ……」
呆然とするヤードと、げんなりするレモ。フローネルは素直にはしゃいでいる。
「綺麗だな!」
「そうだねー」
理解が追いつかない男二人は置いておいて、ティザーベルはフローネルと二人で湖にボートを出す事にした。
ボート遊びが出来るよう、桟橋もきちんと整備されている。ボートはオーソドックスな手こぎボートだ。
「スワンとかあったら、面白かったのに」
「あるわよー?」
「あるの!?」
ティザーベルのつぶやきに答えたのは、十二番都市の支援型ヤパノアだ。
「数は少ないんだけど、子供が喜ぶのよ。足で漕ぐから楽なんですって」
なるほど。現在は倉庫にしまってあるそうだが、入り用なら出してくるという。
だが待て。子供が喜ぶと聞いた後に、じゃあスワンに乗る、とはちょっと言えない。
「……今回は、いいかな」
「そお? 乗りたくなったら、いつでも言ってね?」
偏見だろうが、そう言っているヤパノアの顔が、何かを面白がっているようにしか見えない。いけない、思い込みは良くない事だ。
ボートは他にカヤックタイプもあるそうで、一人でゆっくり水上を楽しみたい時にいいのだとか。
「これで渓流下りでもあれば、面白いのにね」
「あるわよー?」
「あるの!?」
どうなっているんだ、地下都市。
「これがここの渓流下りよ!」
「いや、これどう見てもスプ○ッシュマウンテン……」
屋内にあるそれは、空間拡張を使い見た目よりも広くした内部に、作り物めいた森を設えて、その中に通した水路を丸太ボートで流れていくというものだ。
誰だ、これをここに作ったのは。この調子だと、ジェットコースターがあっても不思議はない。
「あるわよー?」
「またかよ! ってか、ないものの方が少ないんじゃないの!?」
その後、全てのアトラクションを一巡したが、丸一日以上かかったとか。
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