拍手 023 百二十話 「それぞれの道」の辺り

「いやあ、それにしても、セロアが来るとはねえ」

「実はこっちも煮詰まっててさあ。あんたの顔見れば、突破口が見えるかもって思って」

「私の顔は起爆剤か何かか?」

「まあまあ。で? そっちの方はどうよ?」

「んー。勉強の方は進んでるんだけど、どうにも実験の方がうまくいかなくてなー」

「へえ」

「煮詰まってるといえば、こっちも煮詰まってる」

「そうかー」

「で、そっちの煮詰まりって、何よ?」

「ああ、帝都と各都市を結ぶネットワークを構築するってのは話したでしょ?」

「うん。あれ、まだ進んでいないんだ?」

「そんだけでかいプロジェクトなのよ。で、今煮詰まってるのは、各都市と帝都をどうやって結ぶかって事」

「どうやって?」

「無線にするのか有線にするのか、そこからして決まってないのよ」

「この話が立ち上がったのって、大分前だよね?」

「ギルドだけでやるはずが、結局中央政府まで巻き込んだもんだから、話がでかくなっちゃってね。で、そうなると当然各部署のお偉いさんとかが出張ってくる訳だ」

「あー、現場見ない貴族が文句言ってるのかー」

「そういう事。まったく、頭痛いったら」

「いっそ貴族滅べ」

「あんた、それ外で言ったら命落とすからね」

「さすがに外では言わない」

「気をつけなさいよ、本当」

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