地球の平和は誰が守る!?(戦隊物、ラブコメ)

 らんさんの本日のお題は「ケース」、色っぽい作品を創作しましょう。補助要素は「秘密基地」です。


『地球の平和は誰が守る!?』



「Dr.ベリド。そのウイルスの入ったケースを渡してください!」

 そう敵に仁王立ちで言い放ったのは、一人の女性。

 歳の頃は、19、20歳といったところだろう。

 大人というには少し幼さの残る甘い顔立ち。艶やかな長い黒髪は動きやすいようにポニーテールにしてある。

 黒いジャケットに、ピンクのスカーフ。白いタイトなミニスカートからは、すらりと細い脚が伸びる。

 彼女、コードネーム・ベガは変身すればピンクのパワードスーツに身を包む正義の味方ヒーローである。 

「誰が言うことを聞くものか。このウイルスで私の研究を馬鹿にしたやつらに復讐をするのだ!」

 不穏なことをいいながら、クックと嗤ったのはDr.ベリド。悪の秘密結社の幹部の一人だ。

「あなたは、実力のある科学者ではないですか。目を覚まして話し合いましょう!」

「何を隠し持っているかわからん者と話などできるか!」

「わかったわ。じゃあ、脱ぎます!」

「は?」

(ほら、敵も目が点になってるじゃない……。だからこんなことしたくなかったのよ。レッドに、ブルー覚えてなさい!)


 *


 時間を少しさかのぼる。チーム・ギャラクシアは3人組みの正義の味方だ。彼女の仲間の計画はこうだった。

「ベガ、ヤツの気を惹いてくれ。その隙に、俺たちであのケースを奪う」

 そういったのは、ブルーのスカーフを首に巻くコードネーム・デネブ。

 少しお調子者だが、頭がよく機転が利く。

「気を惹けって言われても、わたし困るわ……」

「チラッてやってくれよ。そしたら、あんなおっさんイチコロだろ?」

「それが正義の味方のいう言葉? 第一、わたしで釣れると思ってるの? 無理よ……」

「いや、絶対、大丈夫だって! な、アルタイル?」

 アルタイルは、赤いスカーフを巻くリーダーだ。

 物静かだが、腕が立つ。ここぞという時に頼りになるが、なにぶん口下手だった。

「ベガも、女子だから大丈夫だろう。見ないから安心してやってくれ。絶対守るから」

 かちん! ベガはやけになった。

 実は、リーダーに憧れていたのだ。なのに、この物言い。

 しかも、ブルーの怪しい作戦に賛同するとは……。

 正義のヒーローにチラリズムを要求する仲間というのは、そもそも正義といっていいのか!?


 *


「ここにすべての武器は置きます。ですから、私の話を聞いてください」

 タイトスカートをじりと引き上げると、ニーソックスから張りのある白い太腿が露わになる。

 思わず敵も目が釘付け。

 その太腿には、ホルスターに入った銀色のレーザー銃。

 カチャリという音とともに床に置くと、次は潔くジャケットを脱ぎ捨てる。

 中には白いアンダーシャツ。

 肩はむき出しで、胸元はスクエアにカットされてる。

 スポーツタイプでいやらしい恰好ではない。けれど、細身で出るところは出ているベガには健康的な色香があった。

 胸の谷間が見えるその上には、大ぶりのペンダント。

「それはなんだ!」

「これが、私の変身装置トライアンよ」

「こっちへよこせ!」

「……じゃ、あなたがは・ず・し・て☆」

 ベガはここで失敗してはならないと、持てるお色気を総動員し誘惑した。

(お願い。引っかかってー)

 彼女の願いが通じ、暗示にかかったようにDr.ベリドはたわわな胸元に手を伸ばした。

 すかさずベガはその手を捻りあげる。

「うわっ! 何をする」

「知らないわよ。なんでおとりの私があなたを取り押さえてるかなんて!」

 待機していたレッドがハッとし、ウイルスの入ったケースをキャッチした。


「すまん。つい見惚れて出遅れた……」

「見ないって言ったじゃない。嘘つきーっ!」

 かくして、秘密基地アスタリスクでは、罰としてアルタイル・レッドとデネブ・ブルーがベガの代わりに掃除当番を変わっている。

 反省の意を表してるのか、いいものを見せてもらったお礼をしてるのか定かではない。


 こんなんで、地球の平和は誰が守るの!?



 ☆ E N D ☆


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