第二章(2)以洋、懷天に怯えさせられる
夕方遅くになって
しかし、家の中に一歩入った途端、またあの奇妙な恐怖感とつきまとわれている感覚が甦ってくる。
外にいる時はなんともなかったのに、家に帰って一人になった途端これだ。おまけにこっちには姿が見えないし。ああ苛々する。
怖さと腹立ちをこらえながら、
「……あったまくるなあ……、結局また買い忘れちゃったよ……」
買い忘れるのはこれで二度目だ。しょんぼりと溜め息を漏らした
今日の状況は昨日とほとんど変わらない。帰宅した
今回も
そしてそれから約三十分後、昨日と同じように真っ青になって
苦笑して
「おいで」
「うん……」
幾分きまりの悪い気分で
無言で横になっているうちに、
僕達って、これで付き合ってるって言えるんだろうか?
しばらくして
それでも、口に出して訊くのは怖い。訊ねてしまえば、答えを出さなければならないのではないかと思うからだ。
ぐるぐると考えているうちに、
しかし少し考えてみると、それもまた違うという気がしてきた。
「昨日さ……」
その言葉はぽろっと
「ん?」
「昨日さ、あなたの
無意識のうちに声がやきもちじみた響きを帯びていたらしく、
「うん。それであいつが電話してきたんだよ。早く家に帰れって」
そう言った
「ふうん……」
答えながら
「気にしてたの?」
気にしていたのかどうなのか、
「……僕だってわかんないよ」
ベッドの上、二人の間の距離は数センチしか空いていない。互いの呼気が顔に掛かるのが感じられるくらいだ。
「君って子は……」
溜め息のようにそうつぶやいた
更に、
「ぅん……ん……っ」
ほとんど甘ったるいと表現していいような呻き声が自分の喉から漏れているのが聞こえた。不意に湧き上がってきた情欲と炙られるような熱を受け止め切れず、
「……んぅ……うンっ……」
啜り泣いているような声を
「ゃぅ……」
小さく震えた
このまま続けたら、この先ずっと怯えられそうだ。
「ごめん。怯えさせるつもりじゃなかった」
とは言え、
乱れた衣服と、かすかな喘ぎ。見ているとこの続きがしたくて我慢できなくなりそうになる。
だが……これ以上続けたら犯罪だな……。
心の中で
この子は、ひょっとすると自分にとっては、幼過ぎるのかも知れない……。六歳しか違わないんだけどな……。
笑おうにも笑えないような気分で
「ほら、お休み。もう何もしないから」
今、自分が何を言うべきなのか、
それでも
さっき、
自分の行動が不適切だった可能性に不意に気付いた
結果的に、
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