私達、これからもずっと一緒だよっ!
今日は一年の最後の日。華蓮のある倭国では雪が降っていて、地面には積もった雪によって一面の銀世界を作っている。
そんな中、私と睡蓮ちゃんは先輩達と一緒に雅華神社で年越し準備をしてるの。私達は神社の鳥居の前で箒を手に掃除をしてるわ。
「睡蓮ちゃぁん。先輩方に出すお酒の注文って終わってる?」
「もうやっておるよ~。午後に来るように総務係の人に手配を頼んどいたわぁ」
いつものようにはんなり口調で答えてくれた睡蓮ちゃん。でも目の方は初めて出会った時とは全然違う。雅華神社の巫女としての逞しさって言うか、カッコよさが見えるわ。
「どないしたん? 沙綾ちゃん」
「ううん。何か睡蓮ちゃん。すっごくかっこよくなったなぁって感じるの」
「それは、沙綾ちゃんのお陰やでぇ~」
「私の?」
どういうことなんだろう……? そんなことを考えてると、睡蓮ちゃんは私の前まで来て、箒を持っていない左手で私のほっぺを優しく撫でたの。
「夏に沙綾ちゃんの実家に遊びに行って、そこで沙綾ちゃんの将来の夢を聞いたのが切っ掛けなん。うちが巫女として何を目指したいんかって考えられるようになったんは」
「うん。言ってたね」
「まだその答えははっきりとは出とらんけど、沙綾ちゃんを支えたいって言う気持ちが出て来たんよ」
「私を、支えたい?」
「そうやでぇ~。そんでなぁ。その上で見つけていこうって思ったんよ」
「そう、なんだ……」
確かに、自分が具体的にどんな巫女になりたいのかって言うのを考えてなかったのを悩んでるのは聞いていたから知っているわ。でも、私を支えたいって思ってたのは初めて聞いたわ。
「うちの実家での任務で、あの邪気に沙綾ちゃんが危ないことになった時、沙綾ちゃんを失いとぅないって気持ちが強なったんよ。沙綾ちゃんを失ってもうたら、独りになってまうのが怖いって。そう思ったん」
そう。あの時睡蓮ちゃんは私に強い声で言ってたわ。私を失いたくない。もっとずっと一緒にいたいって。今までもそうだったけど、あの時の睡蓮ちゃんの言葉と思いは、今までの睡蓮ちゃんからは考えられないくらい強い気持ちがこもってたと思う。
「沙綾ちゃんを支える中で、うちが目指したい巫女の姿を見つけようって思うねん。それが見つかるまで、絶対に沙綾ちゃんと離れとうないねん。ううん。見つかってからも一緒におりたいねん」
「睡蓮ちゃん……」
私のこと、そこまで思っていてくれたなんて……。
「夏に沙綾ちゃんの故郷に一緒に行ったとき、初めて沙綾ちゃんの夢を知って、沙綾ちゃんの決意の強さを見て、ドクンって胸が響いたんよ。うちにない物を持っとる。うちのもそれを見つけられたらええんやないかってなぁ……」
「私と一緒に?」
「そうやでぇ」
「そう……」
私、あの時睡蓮ちゃんが私を守ってくれた時、ドクンって胸が高鳴ったのを覚えてる。はんなりおっとりな性格の睡蓮ちゃんが、あの瞬間、すっごくかっこよかったのもあるけど、私と一緒に居たいって言われた時が、一番高鳴った。
あぁ、私も睡蓮ちゃんと一緒に居る中で、この子に惹かれてるんだって。初めて会った時から可愛いって思ってたし、同期として一緒に切磋琢磨していく中で、意識していたんだろうなぁって、その時になって分かったわ。
「私は自分の夢を叶える為にここに来た。この神社に入って、いろんな先輩方と関わっている中で成長してきたって自負もある。でもね。睡蓮ちゃんと一緒に居たいって気持ちも確かにあるの。これからも巫女として、睡蓮ちゃんと一緒に居れたらいいなって。私と一緒に、支え合っていければいいなって」
「沙綾ちゃん……」
「私もこれから、睡蓮ちゃんと一緒に頑張りたいわ。だから、これからもよろしくね、睡蓮ちゃん❤」
そう言いながら私は睡蓮ちゃんをギュッと抱きしめる。
「こちらこそよろしくお願いしますぅ~。沙綾ちゃん❤」
睡蓮ちゃんも私のことをギュッと抱きしめてくれた。あぁ……睡蓮ちゃんと密着してるこの感覚、やっぱりいいわぁ~❤
「二人とも〜! 仲良きことはいいことだけど、掃除ひと段落した〜?」
「終わったなら、中で年越し蕎麦一緒に食べようよ〜」
と、先輩の巫女様方が私達を呼ばれた。
「は〜いっ!」
「ひと段落したんで、今行きますぅ〜!」
箒を持って、お互いの手を握りながらタタタッと階段を駆け上がる私と睡蓮ちゃん。これからもずっと一緒に、立派な巫女を目指して頑張ろうねっ❤️
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最後まで読んで頂いてありがとうございます!今後番外編を不定期で投稿できればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします!
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