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「これは一体! というか、自分で歩きます。歩けます」
「あら、やっと現実世界に戻ってきたみたいね。驚くのも無理はないだろうけどそのアスラはそこら辺の男共よりもずっと力があるのよ。アスラ、別に降ろさなくてもいいわ面倒だからそのまま連れきてちょうだい」
「了解した」
それだけを言うと
先ほどまで
ドアから部屋の中を覗いてみれば屋敷の大きさに比例する様に一部屋もとても広い。
言われるままに腰を下ろして部屋を眺めれば
そしてその家具と同化しているのでは? と思うほど部屋の隅ではアスラが微動だにせず立っていた。
まるで次の命令を待つかのように佇むアスラを見て、この屋敷の中の誰よりも自分の目の前に居る
「そう硬くならなくてもいいわよ。別にとって喰うつもりはないから」
お嬢様のように見える目の前の美しくたおやかに微笑む
「別に食べられるとかそんな事で硬くなっているわけじゃないです。それに硬くもなるでしょ、全く自分がどうしてこんなところに居るのかわからないんだから」
「あら、人間だってお肉よ。食べようと思えば食べられないことは無いし、『喰う』という表現にはいろんな意味があるからそんなことで安心しては駄目よ」
赤い唇を引き上げ、舌なめずりして
その
きつく力づくで押さえつけられているわけではないので痛くはないが、それでもそれに逆らって立つことはできない。
一体何だと視線を向ければ自分を抱えてきたアスラがいつの間にか背後に居て自分の肩に手を置いている。
「客人、お嬢はまだ帰っていいと言ってはおらぬ」
どうして自分が席を立ち、帰ろうとしていることが分かったのかと
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