第44話 れんがのやまで

「帰ってきたかい」

「帰りました」

「どうだった、回想は」

「どうと言われてもな」

「正直に言うと?」

「正直に言いたくない」

 だって俺の正直な感想って「きつねがいなくて寂しい」だからな。恥ずかしくて言えやしない。

「呑むか、呑まないか。君の意志は決まったのかな?」

「……わからない、わからないんだよ……どっちにしてもきつねは消えてしまう。どっちにしても、俺にとっては……」

「じゃ、最後の回想行ってみようか」

 最後の回想?

「たぬきの里だよ」

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