R5.

第38話 くぁwせdrftgyふじこlp!?!?

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  『悪ノ王国〜破滅の時を君と〜』


 強くてNew game ←

 ……

 ……


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 ごきげんよう! レヴィーア・フローディアよ!


 なんて恒例の挨拶をするほどの元気もなく、私はもそりとベッドから起き上がった。

 気分は最悪、テンションはどん底。

 目を瞑ればリベル様の最期の顔が思い浮かぶ。

 トラウマだ。完全にトラウマになってしまった……

 具体的に何がトラウマかって聞かれると困るけど、なんかもうリベル様そのものがトラウマくらいの気持ちになっている。


「うおぉおおぉぉぉ……」


 勢いに任せて婚約破棄を宣言しちゃったけど、これからどうしよう!?

 奇声を上げながら頭を抱える。

 そしたら肩から布団が滑り落ち、突き刺すような寒さに襲われた。


「え、さむっ」


 光が差し込む窓の方に視線をやると、カーテンの隙間からはひらひらと舞う粉雪が……

 しかもよく見たら、私がいる部屋も全く見覚えない場所だ!


「嘘やん、ここどこ!?」


 ループのスタート地点は春。たまに少し冷える日もあったけど、雪が降るほどじゃなかったはず。

 だとしたら今いるのは王都からずっと北の方?

 それとも別の時間軸にループした?

 いやいや、今回だっていつも通りリベル様に「そこで何をしている」って言われたじゃん!

 

「ぬあぁああぁぁぁ!」


 考えたって分からん!! よしっ!

 とりあえず今いる屋敷?内でも見て回る! 後のことはそれから考える!

 訳の分からない状況だけど、落ち込んでいた今の私にはある意味良い気晴らしかもしれない。

 布団から出るため、私は衝動に任せて髪をかき乱していた手を下し、ベッドに手をつく。


「……ん?」


 暖かい。

 というより、暖かい息が手にかかっている。


 え、やだやだ。レヴィーアってば、もしかして自暴自棄になって誰かとワンナイトした!?

 いくら婚約破棄したからって、貴族令嬢としてそういうスキャンダルって困るのでは!?

 どどど、どうしよう……このまま勘当されて、路頭に迷うことになったら……


 冷や汗をどっと吹き出させながら、恐る恐る視線を落として隣にいる何かの正体を確かめる。

 そこにいたのは——


「びゃっ」

 

 目を覚ましたら、隣にリベル様が寝ていた。

 目を覚ましたら! 隣に! リベル様が! 寝ていた!!


「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?」


 この時私の声にならない悲鳴が、屋敷中に響き渡った。

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