R3. リベル・ディクターがいない国
第8話 ドウシテコナッタ
前回の私はリベル様に婚約破棄される反逆者だったようですが、今回の私は完璧で幸福です!
「ごきげんよう、レヴィーア・フローディアよ!」
前のループと同じように鏡の前でお嬢様のポーズを取り、横ではメイドのメイリーファことメイが肩を震わせる。特に深い理由はないけど、私はなんとなく前のループの行動をなぞることにしていた。
時刻は何故リベル様の執務室にいたのか答えられず逃げ帰った、次の日の朝。
……うん。流石に無理だったよ!
あの場で咄嗟に理由なんて出てこなかった。リベル様には既に不信感を与えちゃった気がするけど、まだ手遅れじゃないと信じたい。
「レヴィーア様、本日も登城されるご予定ですか?」
「そのつもり! へへっ、リベル様にお茶を淹れて差し上げたい……!」
「かしこまりました。では登城用のドレスをご用意致します」
一礼して去っていくメイを、私は見送る。
このお茶は普通にスルーされることを私は知っている。けど、もっとおとなしく振る舞えばいつか飲んでくれる日が来るのかな? そんな未来を考えただけで、ワクワクが止まらなくなる。
今日は……というか、今回はどうやって攻めよう?
奇行するヒロインが珍しくてついつい目で追っちゃう『面白ぇ女』路線は、王道なのにかけらも通用しなかった。
狙ってやったわけじゃないんだけどね? でも心のどこかでは、そんな展開を期待していた。
ある日を境に毎日執務室へと訪れるようになった
「ぎぃやぁああぁああああぁあああああ!!!」
無理無理無理無理、やっぱりなしなし! 今のなし!
あの顔であのセリフは破壊力抜群だけど、リベル様はこんなにチョロくないから! 面白ぇ女ルートなんて解釈違いだからっっ! はあ、はあ……
勝手に妄想したくせに、大ダメージを受けた私は勝手に撃沈した。解釈違いは地雷です……チョロいリベル様夢小説なんて受け入れられません……
そういう意味では、生リベル様は最高だった。本家が解釈違いなんて地獄はなく、冷たい視線も威厳のある声もゲームよりずっとずっと迫力があって真面目に踏んで欲しい。
「すぅはぁ、すぅーはぁーー」
実際のリベル様を思い出して私は呼吸を整える。
そろそろメイが他の侍女を連れて戻ってくるはずだ。取り乱す私を見られてメイにまで「貴女は誰ですか?」なんて聞かれたら私はきっとやっていけない。だって今手放しで味方だと言えるのはメイくらいじゃない?
「レヴィーア様……!」
来た来た。ノックと共にメイが帰ってくる。
でも、あれ? なんか焦っているような……
「大変ですレヴィーア様! 閣下が……リベル閣下が投獄されました!」
「…………はい?」
ドウシテコウナッタ。
あまりにも急すぎる展開に私は頭の中が真っ白になった。
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