第3話 他人に言えない趣味

始業式が終わったので、帰路につく。


「み~ゆきっ!部活一緒に行こ~!!」

「美幸!部活終わったらマック行こ!!」


昇降口に美幸がいた。

常に3,4人に囲まれているので目立つ。


話しかけづらいし、話しかけられたなら、

否が応でも同年代の異性3人と対面しなければならない。

童貞の俺には無理だ。。。

ここは変顔してやり過ごそう。。

静かに顎をしゃくって脇を通り過ぎる。


「あ、あああああの!!美幸さん!!お、お時間いただけないでしょうか!?」

顎をしゃくりながら、下駄箱から靴を出していると、マッシュルームヘアーのチビ男が、大きな声で美幸に声をかけた。

この緊迫した表情は、恐らく愛の告白だろう。


「え~?みゆきに~?あっははは!!」

「は!?キノコ君が美幸に?」

まぁ、傍目から見たらそうだろうな。

お世辞にも美幸とお似合いとは言えない。


「少しならいいよ。。」

「え。。」

「は?」

「しつこくされても嫌だからさ。行ってくるよ。」

「なるほど~~」

「へー。考えてるじゃん。気をつけてね」


美幸が少し俺に視線を向けたが、特に何も言わずに、キノコ男と二人でどこかに行く。


「相変わらじゅだな」


中学の頃も、何十人にも告白されていた。

その中には、今のように気持ちの悪い男もいた。

だが、美幸は面と向かって告白を受けていた。

口ではスッパリ断りたいからと言うが、

本当は相手の気持ちを尊重しての行動だと俺は思う。

美幸に背を向けて、顎のしゃくれを解く。


「意外と優しいやつだからな。。でも、なんであいつ誰とも付き合わないんだ。。?」

もしかしたら、好きな奴でもいるのか。。?


「。。。おっと!今日は忙しいんだった!!」

少し速水足で家に帰る。


何を隠そう、今日は空気嫁が完成する日なのだ。


今日までくるのに苦労した。

膣型オナホを購入した時から、毎日が快楽と苦悩の日々だった。。


アイドル、釣り、ゲームなど、

人間は好きなものにお金をかける。

上手くいかないことがあっても、お金をかけ続ける。

好きだからだ。趣味だからだ。

それは俺も例外ではない。

今日まで、日雇いのバイト代を、全てオナホのカスタムに投資し続けた。。


そして、一年間進化し続けた俺の腟型オナホは、二足歩行し、家事全般をこなすまでに進化していた。


生きた細胞で構成された肌。

本物の人間のように、なめらかで多彩な動き。見た目や身体機能は、もはや人間だ。


普通の男子高校生が、どんな空気嫁を作成するのか、聞いたことがないのでわからないが、凡庸な自分が作った空気嫁だ。

そこまで凄い物じゃないだろう。。


「まぁ、マイペースに頑張ろう。」


今日は、俺の空気嫁の中に人間の情熱を注ぎ入れる日。

いや、いやらしい意味じゃなく。

より正確に言えば、人間の心のプログラムを俺の空気嫁にインストールする日だ。


これで俺のオナニー生活は変わる。

輝ける日々に心躍らせ、PCを開く。


自分の創造物が常軌を逸する物とも知らずに。。











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