第65話 小学六年の化け物たち

 開始早々、生徒会長と副会長は赤いペイントに染まった。

 さすがに速すぎた。

 まだ一分も経ってはいないというのに、一瞬で生徒会長と副会長が倒された。


「翔……。どうする?」


 月島は焦っている。

 やはりゲームのプロである生徒会のリーダーたる存在、生徒会長と副会長が開始早々にやられたせいだろう。


 俺たちはPTAを舐めていたようだ。

 俺は建物の陰から少し顔を出すと、ペイントの雨が俺に向かって降り注ぐ。俺はすぐに顔を引っ込める。


「月島。敵はどのくらいいると思う?」


「分からない。でもPTAの全員が参加しているのだとしたら、このフィールドには総勢百人のPTAメンバー、つまり大人がいる」


 大人百人に対し、俺たちは生徒会メンバープラス俺と月島だから二十名にも満たない。

 さすがにこの状況で勝つのは至難の技である。


「月島。ここは隠れておこう。きっと他の場所にいる生徒会メンバーがなんとかしてくれるから」


「そ、そうだね」


 月島は頷いた。

 だが現実がそんなにもあまいわけではない。


 実際、俺はある毒をPTAに盛っている。

 だがその毒が機能するのは、俺たちが全滅する前であり、そもそもその毒がへまをすれば毒は効力を失ってしまう。


 俺は必死に考えるも、ここから逃れる策が思い付かない。

 ここから逃げるのは簡単だが、囲まれていたとしたら行動する方が駄作になる可能性がある。


 」くそ。魔法がないとこんなにも不便なのか」


 俺が魔法の重要性を理解した。


「翔。連絡が来たよ」


 月島が言うと、月島の後ろには忍のような男がそこにはいた。

 全身黒に身を包み、隠密行動が得意そうな雰囲気だ。


「二人ともここで待機していてください。あと数分で脱出路を確保することができます」


「分かった……」


 俺たちはなんとなく頷いたが、実際彼らが何をするのか、俺たちには到底理解できない。


「では神崎さん。月島さん。しばし、ご辛抱を」


 そう言うと、その男は風の流れとともに消えていった。

 まさに忍。


「翔。やっぱり生徒会メンバーはスゴいね」


 月島もやっと期待が芽生え始めたらしい。

 俺も少しホッとする。


「生徒会メンバー。あとは頼んだぞ」


 だが、生徒会長と副会長が速攻でやられてしまうとは、やはり俺たちには何者かがつけていたということになるな。

 もしくは裏切りか?


 多くの疑問点を考え、俺は戦場を見ずに推測する。


 俺は疲れていたので、ひとまず壁に寄りかかって静かに休息する。

 緊張というものは、すればするほど疲れるものだな。

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