第46話 プレイボール

「魔法使いのこの俺を、倒せるものなら倒してみろ」


「魔法使い?何だが知らねーが、俺たちをバカにしたからには容赦なく殺す」


 倉橋高校の野球部の彼らは、俺を鬼の形相で睨んでいた。


 怖い怖い。と思いつつも、心の名かでは少し笑っていた。

 魔法使いだから、ではなく、少し面白いと思ったから。

 多分こいつらは他の高校にも同じようなことをしている。それは自信があるからだ。だが、彼らのその自信が簡単に崩れ去る時、それは今しかない。この野球しかない。


 ーー敗北を教えてやる。倉橋高校。


「じゃあ始める。試合はこの前の途中からで、5回表で俺たち倉橋高校先行だ。そして得点は、9ー0」


 俺は驚いた。

 それもそうだ。多分この試合は10点差ついたら負けるそういう試合だ。つまりこの彼らのターンで1点でも得られれば、負けだ。


 予想はしていたが、倉橋高校がそこまで強いとは。

 だがな、こっちだってそう簡単には負けられない。かくし球くらい用意している。


 すると、入り口から二十名ほどの大人がグラウンドに入ってきた。

 俺たちと倉橋高校間に入ると、一人の男が喋り出す。


「では、試合の審判は倉橋高校教師全員で努めさせていただく。尚、神乃学園の教師陣はただ見ていてもらう」


 なるほど。これは神乃学園が正式に、そして何の脅迫もせず行っている普通の試合か。

 神乃学園の教師は何を考えている?


 ーーこの野球場の観覧席にて

 五名の神乃学園の教師は試合が始まるのをまだかまだかと待ちわびている。


「もうじき、倉橋高校は思い知る。我々神乃学園の生徒の力を」


 一人の男がそう言うと、隣に座っている女性がノートパソコンを開いてとあるフォルダを開いた。


「そう言えば、一年生の中に面白い人物が二人います」


「ほう。名は?」


「神崎翔と、白宮狛犬」

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