第45話 魔法使いの野球の仕方

 放課後。

 そこは倉橋高校が指定した野球のグラウンド。


 そこにいるのは弥助。そして五人の野球部員。三人はデッドボールで保健室にいる。


「弥助くん。あと三人メンバーが足りないようだが?」


 倉橋高校の野球部員は神乃学園の野球部員を嘲笑う。

 弥助は拳を爪が食い込むほど握り、怒りをこらえる。


(今は耐えるんだ。翔が、きっと翔が俺たちを助けに来てくれるから)


「なあ。いい加減始めようぜ。どうせ助っ人は来ないみたいだしな」


 そう言い、一人の倉橋高校の生徒がボールを思いっきり弥助に投げた。弥助の顔をめがけ、野球ボールが空をきる。


(嘘!避けられない)


 だが、ボールは弥助には当たらなかった。


「なあ。友を傷つけるとはいい度胸だな。俺がお前らの心、へし折ってやるよ」


 神崎翔は、俺は弥助に飛んでいった野球ボールを素手でキャッチし、倉橋高校の前に仲間を連れてやってきた。


「調子にのれるのもそこまでだよ。神崎くんを、神乃学園を舐めないほうがいい」


「本当ね。この助けられた命、神崎くんのために使うと決めた。私たちはもう誰も悲しませない。誰も苦しませない」


 月島さんと阿迦井さんがこの野球場の入り口から入ってくる。


「これでメンバーは揃った。そろそろゲームを始めようか。倉橋高校」


 取り戻すぜ。野球部部長。

 あなたの彼女は、俺たち一組が絶対に取り戻す。だから安心していろ。


「魔法使いのこの俺を、倒せるものなら倒してみろ」


 俺は倉橋高校にそう言い放ち、この圧倒的に不利なゲームに身を投じた。


 進もう。この茨の道を。


悪は、魔法使いのこの俺が裁く。

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