第20話 最良の選択

 1年5組の学級委員の雨宮銃凛は、2階から3階に繋がる壁を走り、3階にいる生徒会メンバーをマシンガンで倒していく。


「女王様。作戦通りです」


「殺れ。奴隷No.001」


 人間という椅子に憂鬱そうに座る生徒会秘書の指示で、奴隷No.001はペイントが塗られた巨大な剣を持ち、雨宮が曲がる瞬間を待ち構える。


 階段にいた敵を倒した時、雨宮は気付いた。倒した敵全員に、番号が書かれた首輪をしていることに。


「なるほど。そういうことか」


 雨宮が階段を曲がった瞬間、大剣を持った大男が雨宮に斬りかかる。

 雨宮は、左手のナイフで大剣を受け止めるが、本物の剣にはゴムでできたペイントナイフはただの紙くず同然だ。


「001番。その大剣、本物か?」


「ああ。この剣は女王様が俺専用に特注してくれたオーダーメイドってやつなんだ」


 雨宮は危険を感じながらも、奴隷No.001と死闘を繰り広げる。

 だが殺す武器を持った3年生と、ペイントが塗られた武器を持った1年生では、圧倒的に格が違う。


 雨宮は恐怖で、上手く攻撃を仕掛けることが出来ない。攻撃を避け続け、ペイントを付着させる一瞬を探す。


「なあ。女王様が飽きて居られるぞ。もっと楽しませなよ」


 奴隷No.001の大剣が、雨宮の体を吹き飛ばす。雨宮は防弾チョッキを着ていたため、死には至らなかった。

 だが壁に思い切り衝突した雨宮の頭からは、血が滴り落ちていた。


 階段の上で悠々と見ていた生徒会秘書は、上の階にある生徒会室に戻ろうとする。だが彼女の行く手を阻む者がいた。


「生徒会秘書さん。ボクはちょっとだけ怒ってるよ」


 ショートヘアーの白髪をし、低く冷酷な声をした1年生。彼は怒りを生徒会秘書に向けている。

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