第317話

「ふーん???」


ダンジョンから戻り、我が家で飯を食いながらスマホを眺めていたら思わず変な声が出た。


「ねえ、クロさんや。昨日拾い食いしたのって種とか木の実っぽいやつだった?」


掲示板に書かれていた内容をみて、昨日のクロの行動を思い出しそう尋ねて見ると、かえってきた答えは小さく「にゃ」と一鳴きのみ。


「そっかーまじかー」


まあ、そうだろうなとは覚悟していたけれど、やっぱショックだ。

てかタイミングがあまりにもね? 潜っている間に実装されて、しかも即ドロップするとか……本来なら喜ぶべきところなんだろうけど、何せドロップした種はクロのお腹に納まってしまったわけで、今頃順調に消化されて今日か明日にでもフンッと排出されるだろう。糞だけに。


「ちょっとダンジョンいっくよー」


こんな時はあれだ。神頼みしかない。

相手がアマツだけどきっと何とかしてくれるに違いない。


何なら拝め奉ってもいい。

ダンジョンの入り口に鳥居でもおいて、幣殿と拝殿は我が家として本殿はダンジョンでいいか。


……それはそうと今まで触れてこなかったけれど、アマツって何の神様なんだろう? ダンジョン? 糸目?

そもそも本当に神様なのかという話もあるが……っと、考え事している内にダンジョンの入り口にきてしまった。

何せ家の庭にあるもんだから、ほんとすぐなんだよね。


ま、アマツが何者であるかは別に深く考えるつもりはない、ふと疑問に思っただけだかんね。

神様っぽい感じのダンマスってだけで十分だ。


さてさてアマツはいるかなー。



「アマツさんいるー?」


「いるとも!!!」


ちょっと食い気味できた。

きっと実装した機能について感想を貰えるとか、質問くるかなとかワクワクしながら待ち構えていたのだろう。


これから聞くのは機能についての質問ではあるので、アマツの予想はあっているだろう。

もっともアマツの期待していた質問ではないかも知れないが。





「え? 食べ、え?」


「クロが食べた」


「え?」


「香ばしくて結構いけたらしい」


「……」


どうやらクロに食われたのがよっぽど想定外だったらしい。

目を見開いて固まるアマツとか初めてみた。


とりあえず糸目の神様の線は消えたね!



「あれってそのまま食って大丈夫なの? お尻から芽が出たりせんよね?」


なかなか戻ってこないアマツの頭にそっとクロを乗せ、肝心の部分を聞いてみる。

たんに野菜の種って考えると食っても大丈夫だとは思うけど、ダンジョンに追加された機能で想定していない使用方法な予感がするんだよね。てかアマツの反応を見るにきっとそう。


糞として出るなら問題ないけど、芽でも出ようものならアマツの顔は爪とぎされた段ボールのようになることは間違いない。


「……そこは大丈夫、安心して良いよ」


スパンッと鼻っ面を叩かれ再起動したアマツであるが、少し考えるそぶりを見せ、そう答える。

そこは即答して欲しいところではあるが……想定外だったぽいし仕方ないか。


とりあえず種は食っても大丈夫ってことが分かったので良しとしよう。

あとはあれだね、食べちゃった種をどうにか再利用したいところ……掲示板見た感じ割とレアっぽそうだし、狩りまくっていればまた手に入りはするだろうけど手間は掛かりそうである。


ダメ元で聞いてみるか。



「じゃあう〇こをマーシーに渡せばいいのかな」


「それは、ちょっとさすがにマーシーが不憫」



真顔で反された。

確かに種と肥料を選ぶところでう〇こ渡されても困るよな。

どっちかというと肥料カテゴリーだろうし。


「……少し時間をくれないかい? 対策を考えるよ!」


さすがダンマス。どうにかしてくれるようだ。

斜め上の対策になる恐れは少しあるけれど……まあ五分五分ぐらいで良い方向にいくことだろう。




「なんとかしてくれるっぽくて良かったね。とりあえずお茶と……クロは特にいらないと、おっけー」


クロをアマツの頭からひっぺがし、対策お願いします! とアマツ部屋をあとにした俺たちであったが、とりあえず家に戻る前に一度喫茶ルームによることにした。

というのも誰かしから情報もらえないかなーと考えたからである。


何せ結構な人数が入れ替わりでダンジョン潜っているから、その分得られる情報も多いのだ。

きっと種をドロップした人もいるはず。


どの階層でドロップしたとか、何体目で出たとか、肥料の情報と何が育つか……これはさすがにまだ情報ないかな?

ま、何かしら情報は貰えるだろう。


こちらからもどこでドロップしたとか、種は食っちゃあかんとか情報渡せるし、お互いウィンウィン?なのだよ。



「ん-……?」


喫茶ルームに入った俺であるが、そこには予想していなかった光景が広がっていた。


テーブルに腰掛ける隊員さん……都丸さん、大野さん、田浦さん、それに中村と太郎。ここまでは別に普段と変わらない、おそらく皆で潜ったその帰りに喫茶ルームに寄ったんだろうと想像がつく。

違うのは全員がしっぶーい顔をして沈黙しているところだ。



……いや、全員といったがそれは間違いだ。

太郎だけ舌をだしてハッハッハッと嬉しそうにしている。


なるほどなるほど、なるほどね?



太郎、お前もか。





年末は実家で過ごします。

更新できるかは微妙です(っ´ω`c)割と書くタイミングがですね……

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