第181話

検証はとりあえずそこまでと言うことで切り上げて、お昼にしよう。


「お餅食べきっちゃった……」


今日の昼はきな粉餅にしたよ。

正月にたっぷり作っておいたお餅もついに無くなってしまった。


まあ、しこたま食べたので、当分お餅はいいかな……。



「お?なんかお知らせきてる……きてるなあ」


食後のお茶を飲んでいると、Dパッドにお知らせが届く。

なんとなーく嫌な予感がする。このタイミングってことはあれだよ……アマツのあれ。


「新年イベントのお知らせ!……まじでやる気か」


やっぱそうだった。

問題は……あれが残ってるかどうかだ。


俺としても諦めてくれるとありがたいけど……んんっ。


「……まじであったよお」


アマツめ、本気でやるつもりらしい。

てかお偉方で止める人はおらんかったんかいっ。


トラウマ続出しても俺知らないからねっ。



くそう……いや、まて。内容が割とマイルドになっている可能性……あるよね?

とりあえず内容確認だっ。


「ええと、何々……現在トップを行く攻略者と戦い、その強さを肌で感じよう!ソロでもチームでもOK!勝者には豪華特典プレゼント!敗者にも参加賞を用意したよ!あ、戦いはアバターを使うから安心してね、あまり痛くないよ!」


俺もアマツの声まね上手くなったかもしれない。


「アバターか、なっるほどねー」


痛みがない……訳ではないか。でもあまり痛くないってぐらいだし、せいぜい注射レベルとか?それならトラウマには余りならないかもだね。

なんだー、ちゃんと考えてるじゃーん。


例え燃え尽きようがバラバラになろうが、痛みがたいした事ないならへーきへーき。



さて、不安も一つ減ったし……他に何やるのか見てみようか。

ガチャと限定ダンジョンはあると、ただ内容は当日までの内緒とな。


ん?


「一般人も参加可能!武器や防具の貸し出しもしてる……戦闘もやらせるつもりかいな、鉱石系のダンジョンのみだよな?ああ、これもアバターね」


一般人参加イベントもあったで。


ここで気軽にダンジョンに潜ってもらって……気軽に?武器もって殺し合いする時点で気軽ではないような気がしなくもないけど……まあ良いや。とにかく一般人にも参加して欲しいってことだろうね。


……実はね、トライアルで結構な人数がダンジョンに潜る資格をとって、実際に潜っている訳だけど……ほんの一月程度で半分近くの人が潜るのやめちゃったんだ。


理由はやはりというか、生き物を殺すのが辛いだったり、痛みに耐えられないってのが大半だった。

非生物系のダンジョンを追加したことで、ある程度抑えられたらしいけど……まあ、それでも減っていってる。痛みはどうしようもないからね。


そんなのもあって、もっと潜る人を確保したいってーのが、国とダンジョンの思惑なのかなと。

次のトライアルは相当な人数で募集かけるんじゃないかな……たぶんね。



「へえ、ダンジョン産の素材を使った出店もあると。一般企業の参加もあり……食い物以外もあるのね、面白そうだ」


一般人向け……いや、これはダンジョンに潜ってる人も対象かな。

装備関係だとー……中村が装備かったお店の系列とか、あとは道外でやってるところと……知らないの多いな。

これから売り出すからその宣伝って感じなのかもね。


装備以外でも服とか、アイスリザード?の皮を使った製品とか、バイク……バイク?

ああ、手袋とかそのへんかな……牛さんの革相当丈夫らしいしね。


一般向けの製品もでるっぽい。

実際に性能を確かめて貰って、いっぱい買ってもらおうって魂胆に違いない。


食いもんに関しては、一般参加は少なめだ。

これ、ほとんどマーシーじゃん。まだ仕入れが高くなりすぎるし、モンスターのお肉ってこともあってどこも手を出してない感じ?あ、でも一店だけいるな。


……なんでちゅーるのメーカーが食いもん関係で店出すんですかねえ?ちゅーる食わせる気かな?いいと思います。


「てか、いつのまに一般企業に打診をしたんだ……」


不思議なのはアマツがイベントがどうの言い出したのは最近のはず、なのに結構な数の企業が参加するってのが……単に内々に話してたってだけかなー。


まあ、色々参加してくれるならそれでいいのだ。

限定ダンジョンとガチャは気になるし、企業の出店も気になる。俺たちも参加しようかな。



さて、大体見終わったし午後からどうするかなー……って考えていたのだけど、ふいに外が騒がしくなる。


「ん?……犬?」


どうも犬が駆け回っている感じだ。

吠えてるし……近所の犬が入り込んだか?それとも……とりあえず見てみるべか。


と、いうわけで戸を開けて外を覗いてみると……そこには都丸さんと1匹の犬がいた。


「ああ、すまん……普段は吠えないんだがな、どうも興奮してるようだ」


「あー、もしかしてその子が?」


「ああ、新たに俺たちのチームの一員となった……太郎だ」


太郎か……実に日本の犬らしい名前っちゃ名前だ。

らしい名前なんだけどね。




「ハスキー犬で太郎……あり、なのかな?」


ハスキー犬で太郎ってどうなんだろう。

ありと言われればありな気もするけど……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る