第109話

とりあえず、今一番困っている事については話せたので……あとは、最近のでいくつかあったなあ。


「あとはー。装備の強さがいまいち分かり難いんで、目安でもいいから数値化してくれると嬉しいかな。ほら、装備購入する時に目安がないと」


これも結構なんとかして欲しいお願いだったりする。

装備の説明みただけじゃ、どれが強いのかさっぱりなんだよねー。


今使っている装備は、フル改造してカードセットしまくってるから強いはずなんだけど。

端末で購入できる装備に対してどれぐらい強いのかは分からない。


このへん数値化してくれりゃー、強化する側も強くなるのが目に見えて分かるし、やる気にも繋がると言うものですよ。


「なるほど、目安で良いのなら出来なくはないよ。本当にあくまで目安だけど……そうだね、今月末までには実装しようか」


「ありがとうございまーっす!」


やったぜ。

これで装備の性能がわかる……購入出来るのと大した性能変わらなかったら泣くけど。


まあ、たぶんその可能性は低いと思うけどね。アマツ自身がフル強化してカードも揃うならそっちの方が良いって言ってたし。


ゲームとかで完成した装備みて、にまにまするの好きな人なんです。俺。

楽しみだねー。




あと何かあったかな……ちょっと記憶が曖昧だけど。


「優先度低いけど、他人と画面を共有したい時に端末の画面だとちょっと小さいから……なんだっけ、ホログラム?空中に画面表示出来たりするといいなーと」


確かこんなの考えた記憶がちょっと残ってる。

普段そこまで使う機能じゃないけど、また隊員さん達と一緒に画面みることだって有るかもだしね。


「それは元々ある機能をちょっといじるだけで行けるね。時間見てやっておくよ」


「お願いしますー」


あとは……あとは?


何かあったっけ……あ!


あったあった。これは絶対対応して貰わないとダメな奴だった。

よく思い出した。俺。



「ダンジョンに出てくるモンスターだけど……虫系は避けたほうが良いと思います。人によってはそこで攻略が止まる。て言うかここのダンジョンで出たら本当に泣きそうなんで勘弁してくださいお願いします」


Gの群れとかでたら発狂もんですわ。

でかいムカデとかもやばい。てか、小さい昆虫でもやばいのに、これがでかくなったりしたらもうね、絶対そのダンジョンに入らないぞ。


「おお?そうかい?割とありかなと思ったんだけど……分かった分かった。安心して、日本では実装しないから」


「それでお願いします!」


海外では実装するのか。

……まあ、日本に無いのならそれで問題なし!

海外の攻略組、がんばって!


とりあえずこんなもんかな?

他にもある気がするけど……それはいずれ思い出した時で良いだろう。

と言うわけで、ケーキ食べて帰ろーっと。






アマツにお願いしてから数日後。


快晴、微風、くそ暑い気温と、まさに夏!といった日に俺は畑の真ん中でぼーっと空を見上げていた。


「……天気いいねえ。良すぎだねえ」


じいちゃんばあちゃんの手伝いで、コンバインを操縦して小麦の収穫中なのである。

あ、ぼーっと空を見上げていると言っても、ずっとって訳じゃないからね、せいぜい10秒とかそんなもんである。



「雨降ると品質に影響あるって話だったから、晴れてくれるのは嬉しいんだけど……暑い。クロ溶けてるし」


少しだけずれた進路を修正しながらそう呟く俺。


俺の眼前では操縦席で横になったクロが、まるで液体のようになっている。


小麦にとっては良い天気でも、人間や猫にとっては暑すぎるのだ。

いかに北海道と言えど暑い日は暑い。場所によっては30度後半になるところだってあるぐらいだ。

もっとも。


「まあ1~2週間もすれば涼しくなってくるんだけどさー」


お盆を過ぎると一気に気温が下がったりする。

そして9月になると涼しい……と言うよりかは寒くなり、10月になると初雪が舞う。

それが北海道である。



「おっし、終わりっと。じいちゃんばあちゃんはー……あっちも終わるな」


なんて話している間にも作業は順調に進む。

気が付けば俺が担当した畑はすべて刈り終えていた。


隣の畑を見れば、じいちゃんばあちゃんも残りわずかと言った具合であった。

丸一日掛かってしまったが、どうにか全ての小麦を刈り取ることが出来そうである。


ただ、一つだけ手付かずの畑が残っていたりする。


「例の小麦はやらないでいいの?」


「あっちは再来週だなあ。よく育ってるがまだ収穫にゃ早い」


残っているのはダンジョン産の肥料を使った例の畑である。

順調に大きく育っていたが、まだ熟してはいないらしく刈り取りは再来週とのことだ。

どれだけとれるのか楽しみだねえ。

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