第64話
どうやら俺達が来るのを待ち構えていたようだ。
テーブルと椅子は勿論、かなり豪華な茶菓子も用意されている。
あの皿と紙パックは猫用のミルクだろうか……?
アマツってばここぞとばかりにクロのポイント稼ぎにきておるなっ。
まあいいや、とりあえず座ろう。
そして色々お話しせんと。
「あんな感じで大丈夫でしたか?さり気なくは無理でしたけど……」
茶菓子をパクつきながら、そうアマツに尋ねる俺。
「問題ないよ! 私としてはちゃんとチュートリアル突破してくれるならそれでOKなのさ」
お茶を手に、そう答えるアマツ。
さり気なく誘導できればそれが一番だが、そこまで気にしている訳では無いらしい。
鼻歌交じりに茶菓子へと手を伸ばす姿は、かなり機嫌良さげである。
そのまま適当に雑談をし、茶菓子が無くなった頃に俺は祖父母の件についてアマツに切り出した。
「ところでですね。祖父母にダンジョンが出来たことを話そうかと思うんですが……おそらく湿布の出所について気が付いてしまうと思うんです。 カミングアウトしても大丈夫ですか?」
「私としては問題ないよ。 それに、そう遠くない内にポーションの情報が世に出回るだろうしね」
祖父母にポーションについて話すことは問題ないらしい。
それはアマツにとってもそうだし、恐らくは政府にとってもと言うことだろう。
そう遠くない内に……かあ。
何時だろうね。 早ければ早いほど俺としては嬉しいんだけどね。
「ああ、でも若返りのポーションについては少し待った方が良いかもね。 渡すなら1年と3年の二つにしておくと良い。 5年や7年だとさすがに情報が出回る前にばれちゃうと思うよ」
そっか、見た目がかなり変わっちゃうもんな。
ご近所さんのお付き合いもあるし、若返ったらすぐばれちゃうだろう。
なにせ全部で15年分若返る訳だしね。
じいちゃんばあちゃんなら50代前半になるし、もうじいちゃんばあちゃんって年じゃ無くなってしまう。
ちなみに7年目物の若返りポーションは、15階に到達したことで購入できる様になったよ。
突破してからすぐにダンジョンの事を報告したから、まだ端末チェックは終わってない。
ポーションだけは気になったから先にチェックしたんだよね。
本当ならクロにすぐ飲ませたかったんだけど、ちょっと気になる事が有ってまだ飲ませてないのだ。
「なるほどなるほど……あ、そうだ他にも聞きたいことがあったんですけど」
「なんだい? 何でも聞いてくれたまえっ」
「若返りのポーションって飲み過ぎると不味いですか?」
気になるのは飲み過ぎたらどうなるか、だ。
クロは現在18歳でポーションを全部飲むと15歳若返る訳だけど、3歳ってかなり若い気がするんだよね。
もし若返り過ぎてしまった場合に何か有ると困る……と言うわけだ。
「いいや、そんなことは無いよ。 仮にクロが20年分飲んだとしても、若返りは体が全盛期に至った時点で止まるよ」
「あ、よかった。 じゃあ飲んでも大丈夫ですね。 はい、クロあとで飲んでおいてね」
飲んでも大丈夫!
と言うわけで早速クロにポーションを渡したよ。
猫用のミルク飲んでたから、え……まじ?みたいな表情をしていたけど。
さて、あと質問はー……あ、そうだ。さっき大塚さんに聞かれた事を確かめるかな。
「あとはー……装備って外でも強化されたままですか?」
「そこは体と同じだね。ダンジョン内の5%程度の強化になるよ」
なるほど。
やっぱ体と同じか……5%じゃ誤差だよなあ。
あとは……カードかな。
身体能力上がる奴は明らかに外でも効果あるからねえ……。
「カードとかの効果は残りますか?」
「ふふふ……装備に関しては残らないね。 体に関しては残るよ。 あとは特殊効果はパッシブ発動しているものは残る。 例外もあるけどね」
「なるほど……」
一瞬外でも土蜘蛛使えるんかい!って焦ったけど、パッシブのみか。
となると靴の方は効果ある感じか。
まあやばい効果では無いし……せいぜい壁とか天井にピトッてなるぐらいだし、大丈夫……よね?
あと例外ってのが怖い。
でも聞いても教えてくれないんだろうなー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます