第7話 15年後

夕飯後、広いリビングでは家族皆でテレビをみながら、好き勝手している。


テレビでは、今話題の人気俳優と女優の恋愛ものが流れていて、丁度プロポーズ

の場面になっていた。


「ねえ~ママ。

 パパからのプロポーズってどんなだったの?」


中学生の長女がそんな事を聞いて来た。


恋愛に夢を抱き、キラキラする目を向ける長女を前にハタと考える。


私達のプロポーズ・・・・・。


「あ、プロポーズされてないかも・・・。」


「は~?何それ!?」


「パパ!ママにプロポーズしてないの?」


「あ~、そういえばしてないかも?」


「じゃあ、どうやって結婚したの?」


娘の言葉に考える。


現実をそのまま話していいものだろうか?


飲んだ勢いでやっちゃって、それから付き合う事にしたけど、どうせなら結婚

してって勢いで言った挙句、トントン拍子に話が進んで結婚しました。


付き合う順序も逆なら、プロポーズらしきことを言ったのは私?


考えた末、出た言葉は


「高校生になったら教えてあげる」だった。




できれば、娘には順序が逆でなく、普通に告白してからの付き合いをして欲しい、

せめてもの親心だ。



私達夫婦の左手の薬指には、指輪はない。


結婚式の後、お互い邪魔だという理由で外してしまった。


あの指輪・・・どこにしまったっけ?



そして、未だにお互い「好き」も「愛してる」も言ったり言われたりもしていない。



だけど、結構幸せ家族だったりする。



結婚後、直ぐに生まれた長女、二年後には次女、その二年後には待望の長男、

その二年後に三女、また二年後に次男と思ったより子沢山になった私。


そして、課長は結婚式後の話の通り、長女が生まれる少し前に西園寺会長の養子

になり、本社勤務となった。


今では、西園寺グループの専務になっている。




始まりは、ノリのような勢いのようなスタートだったが、母の言うとおり、

やっぱり『縁』があったということなのだろうか?



今でも私の課長の呼び方は「タカちゃん」のまま、昔のように毎晩盛ったりは

しないけど、そこそこに愛されてもいるから、これはこれでいいのかもしれない。



結局、結婚って『縁』と『タイミング』なのかしら・・・。




リビングで寛ぐ家族を見ながら、幸せだなって思う私でした。







fin

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