14.割に合わねー。ギルドに文句言ってやる。
前回までのあらすじ。
CRホムンクルスがダンジョン1階層に住み着いた。
◇ ◇ ◇ ◇
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入手 「自然獲得(500DP)」x3
手持ち35,990DP→37,490DP
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3日経過した。
食い倒れはイビルホーネットに喧嘩を売りに行く、と言って今朝出かけた。
夕方前には終わるだろうとのこと。
イビルホーネットせん滅に、雑魚は役に立たないと言われた。
なので、機械ゴブリンどもと村人Aを10階層の小部屋、ミルフィーユの部屋に避難させている。
ちなみに部屋主のミルフィーユは魔獣から採った素材を人間の町に売りに行った。
買い物も任せてある。
機械ゴブリンはあれからもスポーンしたが、現在40匹の機械ゴブリンがいる。
あのスポナーはランダムスポナーだったはずだが、どうして機械ゴブリンばかりがスポーンする?
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ランダムスポナーで登場する種類は、ダンジョン内で倒した魔獣の種類や数に応じて増えます。
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つまり、ゴブリンをある程度倒したから機械ゴブリンのスポーンが解禁したってことで、まだ他の魔獣はスポーンしないってことか。
イビルホーネットを倒せば、機械ホーネットがスポーンするのかな?
機械クリムゾンワイバーンが現れない所を見ると、強い魔獣ほどスポーンしづらいんだろうか。
もしくは討伐数不足か。
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クリムゾンワイバーンの
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ふーん。
今、俺はモンスターふんたー11Gの格闘場クエストで遊びながら考えたり会話してたりした。
おっ、討伐タイム新記録更新、やったね。
モンふんで、ストーリーも集合所クエストも全部クリアしたので、やることなくなって格闘場クエストをやっていた。
格闘場クエストとは、分かりやすく説明するなら、魔獣狩りタイムアタックだ。
以前のモンふんは確定行動を見極めたら作業ゲーであったが、このモンふん11Gではモンスターとの駆け引きが強化されている。
確定行動は1つもない。予備動作が少しあるくらいだ。
だが4日間寝る間を惜しみゲームして、予備動作と、モンスターごとの行動傾向を把握した今、俺は他のことを考えながらでもノーミスでモンスターを狩ることが出来る。
まあモンふんシリーズのプレイ総時間2000時間を超えている俺が苦労するなら、そもそもゲームバランスが悪いのだが。
(もちろん、俺より腕やプレイ時間が上の奴はいくらでもいるぞ?)
何が言いたいかというと、そろそろマンネリ化した。
次のゲーム、次のゲーム。
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侵入者が現れました。監視カメラを使いますか?
「はい」
「いいえ」
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どうせ食い倒れが呼びよせたイビルホーネットとかいう奴だろ?
いいよ別に、どうせ食い倒れが処理してくれるだろうし。
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……。
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何か言いたげだったが、気にしない。
俺は機械ゴブリンのいる部屋に行く。
あいつらにはTRPG「魔王討伐隊の生涯」という本を渡してある。
機械ゴブリン達の楽しんでいる様子を眺めながら、ゲーム選びをするとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
・冒険者たちの視点
報告にあった塔のダンジョンを眺める13人。
5人パーティが2組で全員Aランク冒険者だ。
そしてCランク冒険者3人のパーティ1組。
今回はあくまで様子見。
攻略はせず、途中で帰る予定だ。
Cランクパーティは、以前このダンジョンの報告をした者たち、ジズ、ベヒムス、リヴァイアの3人だ。
彼らはダンジョンの外で待機。半日でAランクパーティが戻らなかった場合に町へ報告することになっている。
「ま、俺達なら攻略も楽勝だろうがな」
「駄目よ、あくまで様子見なんだから」
「んー、お宝はありますかねぇ」
Aランク10人は、まるでピクニックに行くかのような気楽さでダンジョンに入っていった。
だが、彼らはAランクの猛者である。
幾度となく修羅場を渡り歩いた彼らは、ダンジョンを両手の数以上攻略してきた。
そして、ダンジョンマスターを
そんな彼らから言わせれば、今回の調査は戦力の無駄遣い。
警戒しすぎも甚だしい。馬鹿馬鹿しい。
「仮にあのCランク3人が裏切って襲ってこようと、俺が守ってやるよ」
「キャー! 素敵ー!」
「……」
盾役と魔法使いがいちゃつく。いつもの光景だ。
いちいち気にしても仕方がない。
Cランク3人がダンジョンマスターと手を組み、先の冒険者を皆殺しにした可能性だってあることを盾役は考えていた。
だが問題ない。
彼ら程度が不意打ちで来たとしても、返り討ちにしてくれる。
◇ ◇ ◇ ◇
・冒険者ジズ視点
「どうしてこうなった」
俺は頭をかきながら2人に話す。
「俺達ぁ、信用されてねーんだろうなぁ」
以前3人のCランク冒険者が帰ってこなかったのは、俺達が闇討ちしたからだと、暗に噂されている。
「言いがかりもいいところよ。
外の見張り仕事なんてつまらないわぁ」
「だがひょっとすると、外出中の強力な魔獣がダンジョンに戻ってくるかもしれない」
「あーあ、リーダーの心配性が始まりやがった」
「その心配が割と高確率で当たるから嫌なのよ」
「ま、怪しい行動をせずに、真面目に仕事してればいいんだ」
俺達の仕事は、あくまでダンジョン入口の見張り。
ダンジョンに出入りする怪しい人間や魔獣がいれば、その特徴をAランク冒険者と町のギルド長にテレパシーで伝える。
ダンジョンの配下はどんな奴か、ダンジョンが“外”とどれだけ外交しているのか、ダンジョンの活動時間はどうであるか、ダンジョンから魔獣が攻めてこないか、などなど。
「もっとも、出来たてのダンジョンで見張りなんて、ほとんど意味ないけどな」
「まったくだ、ったく。
普通は中型~大型ダンジョンの動向を知るために見張るものだろーがよ」
「だな」
ベヒムスの言う通り、こんな中型以下のダンジョンに見張りなど不要だろう。
要するに、俺達は役立たず認定されているようなものだ。
見張りを開始して10分後。
「暇ねぇ」
「だな……ん?」
森の中から見たことのない銀色の巨大二本足トカゲが現れる。
それだけでも恐ろしいのに、そのトカゲはダンジョンに逃げるように入っていった。
何から逃げていたかというと……
「嘘だろ?!」
「イビルホーネット?!」
「ひぃぃぃいっ?!」
黒い2m大のハチが数千匹、あのトカゲを追いかけてきた。
俺達は茂みに身を隠していたが、ハチの姿を遠くから確認するや否や逃げることにした。
急いでAランクパーティへ通信しなければ!
「もしもし! Aランクパーティの皆さん!
変なトカゲとイビルホーネットがダンジョンに潜入しました!」
『え?! イビルホーネットだって?!』
「間違いありま」
テレパシーの会話が途中で途切れた。
殺されたのだ。おそらくイビルホーネットによって。
俺が通話したあの剣士、今回のパーティリーダーだぞ?!
何てこった!
普段はおとなしいあのハチは、ひとたび怒らせると、集団でお礼参りに来る。
その集団の危険度は、かの万毒針竜に、すなわちSSSランクに匹敵すると言われている。
Aランク冒険者には、テレパシーが使える者が3人いたはずだが、誰とも繋がらない、くそ……!
「リーダー! ハチが数匹こっちに来てる!」
「潰すなよ! フェロモンが集団を呼び寄せるからな!」
「かの者に水の鉄槌を! アクアストーム!」
リヴァイアが水流でハチを湿らせる。彼らの羽が使い物にならなくなり、地面へと落ちる。
追撃すれば討伐できるが、それではフェロモンが飛び散ってしまう。
そのまま放っておいて俺達は走り続ける。
「ギルドマスター! 聞こえますか!
ダンジョンに銀色のトカゲとイビルホーネットの群れが……」
俺はギルドマスターにテレパシーで報告しつつ考える。
あのダンジョンのダンジョンマスターは、わざとイビルホーネットを怒らせ、ダンジョン内で撃退するつもりなのだ。
それが出来るほどの実力者なのだ。
中型ダンジョンどころか、大型ダンジョンでもかなりの痛手となるほどのことを平気でやってのける者ということだ。
魔王級の配下を所持していると考えるべきだろう。
……恐ろしいな。
ダンジョンに対して動くのはギルドだけでないだろう。
この国も、隣国も、ひょっとすると魔王も動くかもしれない。
いや待て。俺はそんなに信用があるわけではない。
俺の妄想とも取れる情報ごときに国が動くなんて、考えすぎだろハハハ。
イビルホーネットに襲われたせいで、冷静さが欠けているな。
駄目だな俺。リーダーとして、もっとしっかりしなければ。
「リーダー! 俺達ぁ、いつまで走ればいいんだー?!」
「おう! 後ろに黒い点が飛んでいなければ止まっていいぞー!」
俺達は後ろを見る。追われていない。逃げ切れた!
「はぁ、はぁ、はぁ……ったく、マジで死ぬかと思った……」
「生きてるって素晴らしいわね……」
「だな……」
俺達は歩きになる。
さすがにアレは予想外すぎた。
何で見張りの俺達が死にそうにならなきゃいけないんだ。
「ギルドには依頼料の追加を要求してやる……」
「ったりめーだ、それだけの価値はある」
「ギルドとしては、10人のAランクを失った損失が大きすぎるでしょうけどね」
つまりだ、あのダンジョンの探索難易度は少なくともSランク。
下手すりゃSSSランクということだ。
それが多大な犠牲を経て得た、俺達が命がけで手に入れた情報ってわけだ。
俺達の今回の依頼報酬は確か5万MA(5万円相当)。
……割に合わねー。ギルドに文句言ってやる。
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