ここからが俺の人生

@masirona

第1話 高卒

 斉田雪地さいた ゆきち(25歳)。どこにでもいる平凡な無職のフルーターだ。週5日、5時間ずつ働きながら、生活している。高校を卒業した後、やりたいことも、やれることも、特になくてアルバイトを始めた。厳しくも、難しくもなくて、何の不満もないまま、生きている。学校では一人ぼっちだったから、友達もいない。人に会えるのはバイトするときか、買い物するときだけ。このまま、つつくんだろうか。不安になる時もあるが、お酒を飲んで忘れる。そんな日々を送っているある日、昔のクラスメイトと出会った。


「・・・・・・?」


知り合いに見られないように、隣町でコンビにのバイトをしている、俺は彼女を見て、一瞬、息が止まった。彼女の名前は吉田澪よしだ みお。中学の時、俺の初恋だった女の子だ。黒いジャケットとスカート、白いシャツの彼女は大人の女性になっている。


「あら?斉田君?斉田君だよね!」


「うん・・・・・・久しぶりだね」


「ここで会えるなんて、思ってなかった~!」


「俺も・・・・・・」


「私の会社がこの近くでねーまさか、斉田君と再会するなんて珍しいよ!」


「うん・・・・・・俺も久しぶりに会えて嬉しいよ」


「そうね~!もっと話したいけど、遅刻しちゃうから、先に行くね~。後でお話しましょう!」


「うん!・・・・・・」


窓を通して、彼女の後ろ姿を眺める。窓ガラスに映っている自分の格好と重なり、胸騒ぎがする。思わず、肩を落とした。

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